さびれる理美容ジャーナル
Posted on | 11月 14, 2024 | No Comments
理美容室向けの専門紙誌のことを業界ではジャーナルと呼ぶことが多い。この業界ジャーナルの衰退が著しい。
美容の全国組織の会議に一時は20社ほどの記者が集まることがありましたが、いまは数社にとどまる。理容は美容ほど多くはないものの、それでも5、6社あった時期がありましたが、いまは半数以下しか取材で見かけません。
減少した理由はいくつかあります。
最大の理由は理美容のジャーナルだけに限ったことではありませんが、紙媒体の衰退です。紙媒体はネット媒体に比べ格段に制作費用が嵩む。
理美容業界誌の「売り」の一つは、ヘアスタイルの作品とその技術プロセスの解説ですが、雑誌の技術写真はネットの技術動画にかなわない。業界ジャーナルは、ネット媒体への転換がはかれませんでした。
昭和の時代までは、理美容師にとって業界ジャーナルは情報収集・発信の有力ツールでした。
理美容業界誌に自分の作品を発表することは、一つのステータスでした。自分の作品が載った雑誌を客待ちに置いたり、店頭に掲出し、誘客、固定客化につなげる先生もいました。
また業界雑誌を見た若い理美容師が弟子入りを希望することもあり、撮影で仕事をした先生は「ハローワークからやってくる人に比べ、技術習得に意欲的な子が集まる。こういう子は給与に文句をいったりしない」といって、編集者に何かと気を使ってくれることもありました。
当時、理美容業界紙誌は求人募集の広告を出さない、という暗黙のルールがありました。そんな広告が載っていたら、理美容店主は従業員を引き抜かれる懸念があるから絶対に購入しないし、まず業界流通のディーラーが扱ってくれない。
しかし、いまは理美容業界や美容系サロンに特化した専門の求人求職メディアが複数存在します。
そして、なによりSNSの普及があります。
理美容業界誌を使わなくても、自分の作品や技術を自由に発表できます。昭和の時代は専門のスタジオでプロのカメラマンが撮影したヘアスタイル写真も、機材やアプリが進歩したいまは簡単に玄人はだしの作品に仕上がります。
令和のいま、業界ジャーナルを必要としている理美容師さんは少ない。
時は移ろい、時代に乗り遅れた理美容ジャーナルはさびれる。
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