文化論、運営管理からも出題へ 理美容国家試験
Posted on | 12月 15, 2016 | No Comments
第5回理容師・美容師の養成のあり方に関する検討会が報告書
厚生労働省の第5回理容師・美容師の養成のあり方に関する検討会が2016年12月15日開かれ、前回の論点整理をふまえ報告書「『規制改革実施計画』を踏まえた理容師・美容師の養成のあり方について」をまとめた。
検討会は、理容師・美容師が他方の資格を重複して取得しやすくするための方策を検討するために設置されたものだが、報告書では、基本的な方向性として「顧客ニーズに応えられる人材を育成する」こととし、重複取得以外にも必要な教育を行うことにした。
重複資格では、まず理容美容の教科科目のうち、関係法規・制度、衛生管理、保健、香粧品科学(物理・化学)、文化論、運営管理の6科目を共通化することで、他方の資格を取得する際、共通科目を修学から外し、昼夜間課程の場合、1年間の修学年数で、技術理論4単位(120時間)、実習23単位(690時間)、選択科目(現・選択必修科目)7単位(210時間)を履修する。通信課程は1年半の修学年数になる。
教科科目については、理容・美容に係わる部分の内容を技術理論に移動し、技術理論の修学時間は現行の4単位(120時間)から5単位(150時間)に、また実習も27単位(810時間)から30単位(900時間)に増やす一方、保健、物理化学(香粧品科学)、文化論、運営管理の授業時間は各1単位減らした。
また、国家試験も見直しが行われ、これまで行われていなかった文化論、運営管理についても出題されることになった。重複資格者の国家試験は、技術理論と実技のみで判定される。
検討会では現場に即した技術のできる理容師美容師の育成も主眼に置いているため、実習を増やし、より実践的な教育にし、選択科目についても、教養分野よりも、技術を重視した内容にするよう求めている。
事務局(生活衛生・食品安全部 生活衛生課)では、今年度中に政省例を改正し、教科書の編纂や国家試験の内容を整え、できるだけ早い時点で新制度を施行したい、としており、早ければ1年、遅くとも2年後には新しいシステムに移行する見込み。
なお、国家試験での文化論、運営管理の問題数や、転編入する場合のガイドラインの策定については、引き続き、事務局が行う。
検討会は、これまでの4回の会議で十分な議論をしていたため、報告書については、質疑もなく、全委員が了承した。
閉会に際し、吉井眞人全美連理事長は「現場のニーズに合った美容師の育成が求められており、実習時間をいかに使うか、各校の工夫が求められる。編入する際のガイドラインは早く作ってほしい」、大森利夫全理連理事長は「理美容業界も国際化を迎え、競争力をつけるのが課題だが、とくに衛生面で完璧な日本の技術を世界に発信していきたい」などと語り、出席委員に謝辞を述べた。
最後に原田一郎座長(東海大学講師)は、「類似業界の規制緩和を行うと、多くがごちゃごちゃになって混乱しがちだが、今回の結論は理想的な内容になった。社会がどのように変化し、ニーズが変わっても譲ってはいけないのは衛生だろう」、また北島智子生活衛生・食品安全部長は「今回の改正を機に、顧客満足度の高いサービスを提供できる人材育成を図り、国民生活の向上に貢献して欲しい」と最後を締めた。
報告書(全文)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000146080.pdf
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タグ: 厚生労働省, 理美容重複資格, 規制緩和