所定労働時間の特例で、理美容業が俎上に
Posted on | 10月 30, 2014 | No Comments
1週40時間の所定労働時間への移行を目指した検討作業が厚生労働省の検討会で進んでいる。現在、理美容業などに認められている44時間の特例を廃止して全業種、事業規模にかかわらず40時間に移行するというものだ。
すでに10人以上の従業者がいる事業所は、すべての業種で40時間になっているが、商業、映画音楽、保健衛生、接客娯楽の4分野の9人以下の事業所に特例措置が残っている。
具体的な職業としては、商業分野の理美容業、卸売業、小売業、映画演劇業、医療保険業、社会福祉施設、旅館業、飲食店になる。(労働基準局の職業分類では理美容業は商業分野に分類されている)
労働基準法で所定労働時間の見直しが盛り込まれた昭和62年の改正当時は、対象除外になる特例業種が17分野と多岐・他業種に及んでいたが、徐々に所定労働時間に移行し、
平成9年の見直しで、上記の8業種までに減った。
最後の見直しから16年が経過し、理美容業を除いた7業種は
卸売業:87%
小売業:79%
映画演劇業:82%
医療保険業:74%
社会福祉施設:97%
旅館業:85%
飲食店:82%
が40時間の所定時間への移行を達成している。
ところが理美容業は45%と際立って遅れている。
調査では規模別にも発表されており、理美容業の場合、1~4人:45%、5~9人:46%と規模による差は見られない。
平成9年に、合理化しにくい、競争が厳しいなど特殊な事情を考慮して、特例扱いが認められた8業種だったが、この16年間の経営努力の結果が上記の数字なのだろう。
理美容業ももちろん経営努力をしてきたはずだが、この数字を見ると理美容業はよほど特殊な事情があるのか、他業に比べて経営努力が少し足りなかったか。おそらくその両方なのだろう。
第118回労働政策審議会労働条件分科会(2014年10月28日開催、http://ribiyo-news.jp/?p=13876)では当然、理美容業が俎上に上った。今後の分科会でどのような論点整理・報告が出され、審議会の答申に盛り込まれるかわからないが、8業種一括での特例廃止か、もしくは理美容業だけが特例業種として残るかのどちらかだろう。いづれにしても理美容業にとっては辛いところである。
資料:平成25年度労働時間等実態総合調査(第118回労働政策審議会労働条件分科会より)
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