ネイルサロンに衛生管理ガイドライン 設定へ 厚生労働省
Posted on | 2月 2, 2010 | No Comments
これまで誰でも自由に営業できたネイルサロンに対し、衛生管理ガイドラインが設定され、厚生労働省の指導が行われることになる。そのための検討委員会が開かれた。
厚生労働省健康局生活衛生課は2月2日、東京・霞ヶ関の合同庁舎5号館で、生活衛生関係営業等衛生問題検討委員会を開き、「ネイルサロンの現状について」や「ネイルサロンにおける衛生管理ガイドライン論点について」などのテーマで検討した。
ネイルについては、理容美容の業務とする通知を出してきた厚生労働省だが、今回は理容業・美容業に隣接する業務として位置づけ、ネイルサロンの衛生について管理する姿勢を示した。
この背景には、現在、ネイルに法的規制がなく、誰でも自由に営業できる野放し状態にあるが、近年国民生活センターに被害が寄せられ、安全衛生面から厚生労働省が衛生管理のためのガイドライン作成に乗り出したもの。
初回の検討会では、事務局の生活衛生課からネイルに関する被害状況や、昨年実施したネイルサロンの実態調査の結果が報告されたのを受けて、検討が行われた。
委員会では、
揮発性の高い有機成分を使用しているため火気などの扱い
有機性成分の吸引による従業員の健康被害の予防
甘皮の処理など本来なら医師法の範囲とされる施術行為が行われている
などの発言があり、
ネイルサロンの衛生管理ガイドラインは
隣接する理容師法美容師法で定められた衛生基準や、業務に関連する消防法、労働安全法、医師法などを踏まえ、
ネイルサロンの店舗
および
ネイル・テクニシャン(ネイリスト)
を対象にしたガイドラインが設けられるものと思われる。
次回、第二回目の検討委員会では関連団体に意見聴取するとともに、事務局の骨子案が提案される。
生活衛生課では、委員会を計3回開催して、ガイドラインを策定し、パブリックコメントなどの所定の手続きを経て公布することにしている。
なお、同検討委員会では、ネイルに続いて旅館やクリーニングの衛生管理ガイドラインも検討する予定。
【検討委員会委員】
座長/倉田毅富山県衛生研究所所長
委員
秋山茂北里大学医療衛生学部講師
大井田隆日本大学医学部教授
長見萬里野日本消費者協会参与
中島二三男都健康安全部環境衛生課長
村山正明千葉市健康部生活衛生課長
渡辺晋一帝京大学医学部皮膚科教授
<コラム>なぜネイル?
会議の冒頭、上田博三健康局長、松岡正樹生活衛生課長らによって検討委員会の開催趣旨が説明された。検討会は、安全に国民生活が送れるように、生活衛生事業者が遵守する衛生管理や衛生的取り扱い方法を現代社会に即した衛生上の問題点を検討して行政上の指針を得るためだという。
ではなぜネイルが取り上げられたかについては、国民生活センターに被害が寄せれているからと説明した。
なるほど、事務局が紹介した国民生活センターに寄せられた被害状況を見る限り、行政としての対応が必要かもしれない。もっとも委員の中にはネイルを「遊び」「おしゃれ」のレベルでやっているのだから、「すべて自己責任で」という発言もあったが、行政としては放っておけないようだ。
被害といえばネイルよりもっと多発しているがエステティックである。昨年こそ減ったがそれまでは例年1万を超す相談被害件数が報告されている。相談の大半は営業面でものだが、中には施術による被害もある。
エステティックの施術被害は以前から報告されているのに、エステティックの衛生管理は放置しておいて、ネイルを急ぐのだろうか?
エステティック業いついては、すでに通商産業省が営業面での指導を行っており、通産省主導下におかれている。ネイルについては衛生管理の面から厚生労働省がいち早く指導することで主導権をとる? そんな省庁間の主導権争いも見え隠れする今回の検討会であった。
タグ: ネイルサロン, 衛生管理