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美容業界の怪

Posted on | 4月 12, 2012 | No Comments

小山秀男の日々雑感
世の中には不思議なことがあるが、美容業界にもある。美容室の多さである。
美容室数については、すでに四半世紀も前からオーバーショップが指摘されていた。当時、「こんなに美容室が多くては店をやっていけない」と嘆く美容室の経営者は多かった。しかし、そんな嘆きをよそに美容室は右肩上がりの1本調子で増え続けてきた。

現在、美容室の数は厚生労働省の衛生行政報告によると、22万3286軒を数える(2011年3月末)。前年より359軒減っているが、これは東日本大震災の影響で東北3県の一部データが集計されていないためで、これらを加えると間違いなく増えている。

衛生行政報告は美容室の開廃業の届出を集計した数字だが、この資料を見る限り美容室は増え続けている。
参考までに過去からの美容室数の推移を10年刻みで紹介すると、
1971年/11万6021軒
1981年/15万6635軒
1991年/18万6506軒
2001年/20万2434軒
といった具合だ。驚くべき増加ぶりである。

この間、理容店の客筋であった男性客を美容室が取り込むことで、美容室マーケットが拡大したことも美容室が増えた一因としてあげられる。しかし、男性客の取り込みも、ここ数年で歩留まりの状況となってきている。

実際、美容業界のマーケットはすでに頂点に達し、一昨年あたりから縮小を始めていると推測される。株式を上場している大手サロンが発表する業績の報告をみても、苦戦しているのが窺える。美容室のリーディングサロンともえいる上場サロンがこれでは、それ以外の美容室の業績は推して知るべしだ。

業績が悪くなると、人件費で調整する。そのことは賃金構造基本統計調査で裏付けられており、比較的賃金の高い40歳前後のスタッフが退職する。
退職した彼らが独立することが、美容室が増える要因の一つになっている。

美容産業は「人」が基盤の産業である。大手サロンは業績が悪くなると、人件費を調整弁にして乗り切ろうとする。一人もしくは夫婦で営業している個人経営のサロンは、自らの給与を減らすことで耐える。美容業界の8割はこの個人経営店である。個人経営店でもテナントなどに入って固定費が高いと立ちゆかなくなるが、自宅兼用の店舗なら1日数人の客が来ればなんとかなる。
結局のところ、美容業は「生業」なのである。それが美容業の強さ、底力ともいえる。だから美容室の数は減らない。

その良い例が理容業である。20数年前、当時1兆円(推定)のマーケットだった理容産業を全理連は「快適優美産業として、2兆円産業に」と大看板を掲げたのはいいが、いまは6000億円台にまで4割近く落ち込んでいる。それでも理容店の店舗数は当時から約1割しか減っていない。

理容師さん美容師さんは忍耐強く耐えている。しかし、耐えてばかりでは未来がない。この構造的な不況、「生業」から脱却するための方策を業界あげて考える時に来ている。

美容業界の未来を拓くには、いままでしてきたような技術一辺倒では活路は見出せない。
次回からは、未来に期待のもてる具体的な提言をしたい。

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タグ: 小山秀男の日々雑感

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