理容業は改善、美容業は悪化 【日本公庫の景気動向調査(2025年7〜9月期)】
Posted on | 11月 3, 2025 | No Comments
日本政策金融公庫は2025年10月31日、生活衛生関係営業の景気動向等調査結果(2025年7~9月期)を公表した。今期の業況DI(業況判断指数)は、理容業が前期比・前年同期比ともに改善した一方、美容業はともに悪化し、理容業と美容業で明暗が分かれた。
来期の業況見通しは、理容業が「悪化」、美容業が「改善」となり、両業の差は縮小する見込みだ。
理容業では、採算DIが2024年第4四半期のゼロをはさんで7期連続でプラス域を維持している。また、客単価DIは4期ぶりにプラスに転じた。利用客数DIも大幅に改善したが、依然としてマイナス域にあり、客数の減少傾向は続いている。
美容業では、客単価DIが2期連続でプラス域にあり、料金改定の進捗がうかがえるものの、他のDIはすべてマイナス域にとどまっている。とくに利用客数DIの改善が見られず、客足の減少が理容業よりも深刻な状況だ。

DI(業況判断指数)とは、「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた値を指す。2005年以降、この数値がプラスとなった期は一度もなく、理容・美容両業界の業況が長期にわたり厳しい状態にあることが分かる。
公庫の調査結果を見る限り、美容業の回復は理容業より遅れているが、全体としては依然として緩やかな回復にとどまっている。
景気動向等調査結果(DI調査/2025年7-9月期)
| 指標 | 今期 | 前期比 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 業況 | |||
| 理容 | -7.6 | 1.3 | 2.8 |
| 美容 | -19.0 | -2.6 | -6.0 |
| 全業種 | -11.3 | -3.3 | -6.0 |
| 売上 | |||
| 理容 | -6.4 | 3.4 | -2.8 |
| 美容 | -19.9 | -3.3 | -8.6 |
| 全業種 | -4.6 | -0.1 | -9.2 |
| 採算 | |||
| 理容 | 7.3 | 2.3 | -0.3 |
| 美容 | -6.1 | 0.0 | -0.9 |
| 全業種 | -2.6 | -1.1 | -3.7 |
| 利用客数 | |||
| 理容 | -16.6 | 8.3 | -1.6 |
| 美容 | -29.3 | 0.5 | -4.7 |
| 全業種 | -16.3 | 2.8 | -7.7 |
| 客単価 | |||
| 理容 | 0.7 | 3.8 | 0.2 |
| 美容 | 1.5 | 1.3 | 3.9 |
| 全業種 | 8.9 | -1.4 | -0.9 |
<調査概要>
調査時点:2025年9月中旬
調査方法:訪問調査
調査対象:生活衛生関係営業 3,290企業
有効回答企業数:3,152企業(理容業422企業、美容業457企業)

長期傾向としては、2014年から直近までの理容業・美容業の業況DI(4期移動平均線)を見ると、コロナ禍で大きく落ち込んだものの、長期的には両業とも緩やかな回復傾向にあることが分かる。最も落ち込んだのは2020年第4四半期である。
タグ: DI調査, 日本政策金融公庫, 景気動向調査

























