ビタミンCの浸透を炭酸が促進──I-neと佐賀大学の最新研究
Posted on | 5月 12, 2025 | No Comments
理美容業界でも炭酸水シャンプーが注目されているが、炭酸に含まれるガス成分そのものが皮膚への有用成分の浸透を促進している可能性があることがわかり、今後の美容分野への応用が期待される。
株式会社I-ne(本社:大阪市)と佐賀大学は、共同研究「Vitamin Cの皮膚浸透性に対する炭酸の効果」の成果を、2025年5月22日〜24日に開催される日本薬剤学会第40年会で発表する。
発表を行うのは佐賀大学の平川紗妃氏と徳留嘉寛氏。
本研究は、炭酸が持つ美容効果の新たな可能性を探るもので、特にビタミンC(VC)の皮膚浸透を促進する働きに注目したもの。ビタミンCは美白やエイジングケアなどで広く利用される一方、水溶性であるため皮膚への浸透性が課題とされていた。I-neはこれまでに、炭酸が経皮吸収を促進する可能性を明らかにしてきたが、その具体的な作用メカニズムについては未解明だった。
研究では、異なる炭酸濃度(0、1,000、5,000、10,000、20,000 ppm)の炭酸水に2%のビタミンCを配合した5種の試験液を用意。各溶液の炭酸濃度、pH、電気伝導度を測定した後、フランツ型拡散セルと三次元培養皮膚を用いてVCの浸透量を調査した。結果として、炭酸濃度が高いほどビタミンCの浸透量が増加する傾向が認められ、特に5,000 ppm以上で有意な差が見られた。
この結果は、炭酸に含まれるガス成分そのものが皮膚への有用成分の浸透を促進している可能性を示唆している。pHや電気伝導度に明確な違いが見られなかったことから、浸透促進効果は炭酸の物理的性質に起因していると考えられる。
I-neと佐賀大学は本研究成果をもとに、今後さらに炭酸の機能性を解明し、水溶性成分全般における浸透性の向上を目指した製品開発に取り組む方針。スキンケア分野だけでなく、美容業界全体への技術応用と価値向上にも貢献していく構えだ。今後は、学術誌や学会での発表を通じて社会と知見を共有し、研究成果を応用した新たなスキンケア製品の創出を目指す。
タグ: 炭酸水, 経皮吸収, 美容サイエンス