表皮細胞が皮膚コラーゲンを供給
Posted on | 3月 17, 2025 | No Comments
「ウーパールーパーが覆す常識!」
肌にハリや弾力を与える皮膚コラーゲンは、線維芽細胞のみが作るものと考えられていたが、両生類のウーパールーパー(メキシコサンショウウオ)の皮膚では表皮細胞(ケラチノサイト)が皮膚のコラーゲンの主要な供給源であることが判明した、という研究結果が公表された。
国立岡山大学が名古屋大学、基礎生物学研究所の共同研究成果として、2025年3月9日発表した。
「ウーパールーパーが覆す常識!」と研究機関にしては派手なタイトルで公表、「これまで繊維芽細胞を中心に研究開発が行われてきたコラーゲンの研究に大きなパラダイムシフトをもたらすポテンシャルがあると考えらる」と画期的な研究結果であることを強調しているが、両生類レベルでの実験結果で、ヒトでの研究はこれからになる。
<発表のポイント>
・これまで、皮膚コラーゲンは線維芽細胞のみが作るものと考えられてきました。
・しかし、ウーパールーパーの皮膚では、表皮細胞(ケラチノサイト)が皮膚のコラーゲンの主要な供給源であることが判明しました。
・表皮細胞が同じ方法でコラーゲンを作る可能性が魚・ニワトリ・マウスでも高いことを確認しました。
<概 要>
皮膚コラーゲンは多くの人々が興味を持つテーマですが、これまでコラーゲンが皮膚の中で「いつ」「どこで」「どの細胞が」「どのように」作られているかについては、ほとんど解明されていませんでした。この原因の一つは、ヒトや実験動物の皮膚が不透明であるためです。
一方、ウーパールーパーは非常に透明度の高い動物で、小さな個体では骨まで見ることができます。この特性を生かし、ウーパールーパーの皮膚を使ってコラーゲンの生成過程を研究したところ、これまで常識だと考えられてきた線維芽細胞と呼ばれる細胞群ではなく、表皮細胞(ケラチノサイト)が主要なコラーゲンの供給源であることがわかりました。
さらに、このケラチノサイトを基盤とする皮膚コラーゲン産生メカニズムは、ウーパールーパーだけに特有のものではなく、さまざまな動物に共通して保存されたシステムであることも明らかにしました。この成果は、これまで美容や医療のコラーゲンを対象に、線維芽細胞に特化して行ってきた製品開発などにおおきな方針変更や新たな製品開発へのイノベーションを促す可能性があります。
本研究成果は、2025年2月24日午後7時(日本時間)『Nature Communications』に掲載されました。
・詳しい研究内容について
ウーパールーパーが覆す常識!皮膚コラーゲンの真の供給源とは?
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20250220-1.pdf
岡山大学学術研究院環境生命自然科学領域の佐藤伸教授は「博士後期課程の大蘆彩夏大学院生が手がけた研究です。ウーパールーパーの持つプルプル肌を目指し、永遠の17才の肌質の実現に向けて奮戦中です。コラーゲンに関する製品開発を進めたいと考えており、共同研究者を募集中です。」と話している。
タグ: 皮膚コラーゲン, 線維芽細胞, 美容サイエンス, 表皮細胞