人気分野の看護と美容は共通点が多いが

Posted on | 1月 6, 2025 | No Comments

高卒者を入学対象にした専門課程の人気分野は看護と美容が双璧です。美容科の入学者数は介護科には及ばないもののここ数年、両科は他の分野を圧倒しています。

両科とも女子の入学者数が多く、女子入学者数も両科が1位、2位です。男子も一定数の入学者がいます。
介護は福祉面で社会的な価値のある仕事です。美容はおしゃれでキレイ。女子にとって「やりたい仕事」であることは間違いありません。

しかし、実際に就業してみると両業ともさまざまな問題があり、離職者が多い職場です。
女子が多いだけに結婚・出産・育児を理由に離職する人が多い。賃金水準・労働時間・休日・勤務体制などの労働条件面での離職も多い。介護職は夜勤や非正規雇用などの問題もあるといわれてます。

介護の仕事は高齢化がすすむ日本でなくてはならない仕事です。国は、適切な介護を行うためには毎年6.8－7.7万人の人材を確保しなければならないとして、介護人材の確保に向けた対応策をいろいろと講じています。

美容室の業界はというと、従業員を雇用する企業サロンからは人手不足を声が聞かれます。それもかなり深刻です。この1、2年、美容室の倒産件数が増えている理由の一つに人手不足があります。もしくは賃金上昇による倒産です。倒産に至らないまでも事業を縮小している企業もあります。

従業員を雇用する企業サロンにとっては深刻な人手不足ですが、美容室市場全体を見渡せば、相変わらず供給過剰の状態が続いています。
介護と美容、共通点が多い仕事ですが、違うのは独立のハードルの高さです。美容は低く、介護は高い。いま美容は一人経営の美容室が増加しています。SNSや検索予約サイトが普及し、上手に情報発信すれば完全予約制で美容の仕事ができます。空いている時間に他業を兼職したり、趣味などにも活用できます。
働き方改革がいわれていますが、美容は理想的な仕事といえます。

従業員を雇用するブランド系の美容企業サロンはどうすればいいのか？　60歳、65歳までの定年まで働き続けられるビジネスモデルの構築です。
雇用した従業員全員が定年まで、というのは無理にしても半数以上が定年を迎えられるようになれば、求人対応や教育・育成に追われることはなくなるでしょう。求人のための費用も削減できます。
とはいうものの、実際にそんなビジネスモデルを構築するのはかなり難易度が高い。

ちなみに介護と美容の離職で共通しているのは、「職場の人間関係」も大きな理由の一つです。もっとも「職場の人間関係」による離職は介護、美容だけに限ったことではないようですが。

＊資料：「介護人材の確保について」（厚生労働省　第１回福祉人材確保対策検討会（H26.6.4）資料）

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