変わる理美容業の労働環境
Posted on | 11月 29, 2024 | No Comments
先進国のなかでは何かにつけて後れている昨今の日本ですが、国内では理美容業界の遅れが際立つ。
理美容業界で広く活用されている週44時間労働の特例措置。平成13年に施行され10年が経過し、他の対象業種のほとんどは通常の週40時間に移行しています。「週40時間とすることによる支障の有無」の調査で、2位の倉庫業(25.0%)以下を大きく引き離して、理美容業は86.7%が支障あり、と回答しています。(以上、「労働基準関係法制研究会」/厚生労働省の資料より)
令和のいま、労働時間は週40時間がほぼ当たり前になっているのが、この資料からわかります。しかも、特例措置の対象事業場に占める理美容業の比率はわずか1.5%に過ぎません。これでは、特例措置そのものを廃止しても、理美容業界は別にして、たいした影響はありません。働き方改革を掲げる政府が、この特例措置を廃止するのは時間の問題とみられます。
いま理美容業もかわる必要があります。
いや、すでに非常にゆっくりとですが変わり始めています。少人数の従業員を雇用して営業する理美容室は減少しています。小規模零細理美容室にとって、社会保険への加入は重荷になっていますし、新卒の理美容師を送り出す理美容学校は社会保険の完備を前提にしている学校が多い。
さらに特例措置が廃止されれば、従業員の雇用を諦める理美容室の増加が加速しそうです。
従業人を雇用しない理美容室、つまり一人営業や家族営業の店です。一人営業の理美容室は増えていますが、いっそう増えそうです。
一人営業は予約制を導入することで、効率よい仕事ができます。完全予約制なら空いた時間を自由に使うことが可能です。副業や兼業も可能で、多様化する働き方にふさわしい営業形態といえます。
また、理美容室を持たずにシェアサロンを活用して、集客から決済までを一人で行うフリーランス理美容師という働き方も急速に増えています。業務委託や面貸しとは違う完全独立型のフリーランスです。
昭和の時代は、数人の従業員を雇用し、技術を指導しながら経営する営業スタイルが多くを占めていましたが、雇用環境、労働環境が大きく変化したいまは、理美容室の営業形態も変わる必要がありますし、変わらざるをえない。
タグ: 労働時間特例措置, 労働環境, 理美容ラウンジ