外国人観光客の受入れに消極的な理美容業
Posted on | 10月 5, 2024 | No Comments
外国人観光客が増えインバウンド需要が拡大しているが、理美容業は同じ生活衛生業のホテル・旅館業、飲食業、浴場業などに比べると、需要は限定的で、受入れに消極的だ。
「外国人観光客の利用の有無」は、ホテル・旅館業88.4%、公衆浴場業61.5%、飲食業57.0%なのに対し、理容業は21.2%、美容業は12.1%だった。生活衛生業平均は41.8%で、理美容業は平均値の半分ほど。客とのコミニュケーションが求められる理美容業の場合、言語の壁が大きい。
日本政策金融公庫が2024年9月30日発表した「生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査」による。
インバウンド需要は業種ごとによる差が大きく、また地域による差も大きい。
「外国人観光客を受け入れるための取り組み」を実施している企業は、理容業16.9%、美容業8.0%で、平均の26.0%を大きく下回る。ホテル・旅館業は77.3%が実施している。
「効果のあった取組み」(複数回答)は、
理容業(n=37)は
①キャッシュレス決済:51.4%
②翻訳機の導入:29.7%
③Wifiなどネット接続の整備:16.2%
美容業(n=16)は
①キャッシュレス決済:56.3%
②翻訳機の導入:31.3%
②Wifiなどネット接続の整備:31.3%
回答数が少なく参考程度になるが、トップ3は理美容業共通している。
また、「今後の外国人観光客の受入れ方針」については、「積極的に受け入れたい」と回答した企業は理容業1.7%、美容業2.6%で、平均(5.8%)の半分以下と少ない(下のグラフ)。
「できれば受け入れたくない」企業は理容業43.8%、美容業52.7%と多く、何かと手間のかかる外国人観光客の受け入れに慎重な姿勢がうかがえる。
「外国人観光客の受け入れに慎重な理由」(複数回答)については、理容業美容業とも「言語・文化の違いから発生するトラブルを可能な限り回避したい」が最多で、理容業44.5%、美容業52.5%。次いで「多言語に対応できる従業員が不足している」が理容業31.9%、美容業45.0%と多い。
<調査概要>
調査時点:2024年6月中旬
調査方法:郵送調査
調査対象:生活衛生関係営業 3,290企業
有効回答企業数 3,158企業(回答率 96.0%)、理容業420企業、美容業461企業
なお、同公庫では、インバウンド対応に初めて取組む方向けに、押さえておくべきポイントをまとめた手引書「外国人客おもてなしガイドブック」や、コミュニケーションツールなどを作成している。同公庫サイトから無料でダウンロードできる。
https://www.jfc.go.jp/n/findings/kokumin_publications.html
タグ: インバウンド, インバウンド調査, 日本政策金融公庫