「ぬばたま」は檜扇(ヒオウギ)の種子
Posted on | 8月 30, 2024 | No Comments
日本人は古来より黒髪を重んじてきました。
黒くて光沢のある、檜扇(ヒオウギ、檜扇菖蒲/ヒオウギアヤメのこと)の種子を「ぬばたま」といい、髪にかかる枕言葉にしてきたように髪といえばツヤのある黒が決まりです。
黒髪を大切にしてきた日本人ですが、黒色の僅かな違いも敏感に感じ取り、色名をつけています。
・玄(げん):赤や黄みを含んだ深みのある黒色のこと
・紺鼠(こんねず):わずかに青色がかった暗い鼠色のこと
・檳榔子黒(びんろうじぐろ):青みを含んだ気品のある黒色のこと
・漆黒(しっこく):黒漆くろうるしを塗った漆器のような深く艶のある黒色のこと
・涅色(くりいろ):川底の泥のような茶みがかった黒色のこと
・濡羽色(ぬればいろ):烏からすの羽のような艶のある黒色のこと
・藍墨茶(あいすみちゃ):藍みを帯びた墨色のこと。相済茶と同じ
・呂色(ろいろ):黒漆の濡れたような深く美しい黒色のこと
・墨色(すみいろ:「墨の五彩」、濃、焦、重、淡、清の焦にあたる黒に近い灰黒色のこと
・黒橡(くろつるばみ):橡の実を砕いて煎じたものを鉄媒染で発色させた青みがかった黒色のこと
・黒鳶(くろとび):やや黒みの赤褐色で暗い赤褐色である鳶色をさらに暗くした色のこ
『伝統色のいろは』 (https://irocore.com/)から。
まだまだありますが、ざっとひろっただけでもこれだけあります。
ちなみに以上の色名は、「黒」と同義語とされています。
印刷業界の4色分解で黒はK100になりますが、上記の色では呂色がこれになります。
古来の日本女性は、髪が黒いだけではなく、髪の長さも重要で、長い黒髪が美人の条件とされていました。
ヘアカラーでおしゃれを楽しむ令和のいま、黒髪美人は珍しい。
以上、黒について紹介しましたが、古来の日本人女性の化粧(和化粧)は黒・白・赤の三色で行っていました。黒と同じように、白・赤にも微妙に違う色味があり、色名をつけています。そんな微妙に違う色味を楽しんで化粧していたのかもしれません。
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