理容師・美容師専門委員会の議題は?
Posted on | 5月 16, 2024 | No Comments
厚生労働省が厚生科学審議会生活衛生適正化分科会に理容師・美容師専門委員会を設置することを決めました。まだ議題については公表されていませんが、同省の基幹審議会の一つである厚生科学審議会で取り上げるだけに理容師美容師の根幹に関わる重要なテーマが議題になる可能性があります。
議題として考えられるのはいくつかあります。
一つめは、理容師美容師の重複資格が実施されて5年経ち、その評価や見直しが行われる時期になっていることから、重複資格の運用の検討、さらに一歩踏み込んで理容師美容師の統合が俎上にあがる可能性があります。
実際、理容師と美容師は法的には顔剃りができるか否かに煎じ詰めることができます。これについても美容師のシェービングを限定的に認めた昭和22年通知があります。理容業美容業を二つの業法で分ける必要性は希薄といえます。
むしろ二つの業法があるために参入の障壁になっている面があります。障壁を取り除くことで両業が活性化することが期待できます。また、近年、技能五輪世界大会や国際的なコンテストで日本勢が韓国や中国、台湾などに後れをとっている一つの原因として、二つの業法、二つの生活衛生法上の組織があることも原因の一つといえそうです。
理容と美容は日本の男女差にもとづく伝統的な業態でしたが、ジェンダーフリーのいまとなっては、世界的にみても二つの業法が存在するのは珍しい。
二つめは、ホットラインや特区提案に寄せられた、カットやシェービングに特化した技術者を短期間で育成するという提案に対する対応です。
提案に対し厚生労働省は「不可」の判断をし一蹴していますが、これらの提案を踏まえた検討が行われる可能性もあります。
三つめは、「「美容師養成の改善に関する当面の方針」に係る令和5年度以降の対応」が昨年示され、まつ毛エクステンションやオールウエーブセッティングの見直しなどの検討を行い、令和11年2月試験から新しい国家試験を実施することになりましたが、国家試験の内容について、前述の二つの可能性とあわせて、国家試験そのものを根本的に見直し検討するというものです。
以上は、理容師美容師の範囲にとどまる議題の可能性ですが、理美容に隣接するエステティックやネイルなどとあわせて検討が行われる可能性もあります。
4月の消費者員会本会議(内閣府)でエステティック業は、消費者トラブルが生じやすい形態と指摘され、同会議ではエステティックに業法がないことへの対応も取り上げられました。
日本理容美容教育センターはエステティックやネイルの教育もカバーしています。すべての養成施設で指導しているわけではありませんが、同センターではエステティック、ネイルの指導者の育成を行っています。
厚生科学審議会の部内に理容師・美容師専門委員会が設置される背景には、内閣府の強い意向があるように感じられます。首相直結の内閣府の意向なら厚生労働省も専門委員会を設置せざるを得ない。
そこで検討されるのは、理容師美容師の両法の統合、さらにエステティックやネイルの抱合を視野に入れた検討かもしれません。厚生労働省の所管なので衛生・消毒は最重要視し、さらに選択コースとして、理容師美容師のヘア、エステティック、ネイル、カット、シェービングなどの専門技術教育を行うとともに、今後変動が予想される社会動向、時代にあった新しい技術教育に対応できる仕組みを構築する。タトゥ―などの専門教育があっていい。国の成長にもつながる、時代にあった美容産業を育てる検討が行われることを期待したい。
もっとも課題が未発表のいまだから勝手なことがいえますが、蓋を開けてみたら、些細な議題だったりすることもあります。
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タグ: 理容師・美容師専門委員会, 理美容カフェ, 規制緩和