厳しさ増す 理美容業の雇用動向

Posted on | 2月 29, 2020 | No Comments

日本政策金融公庫「雇用動向に関するアンケート調査」
日本政策金融公庫は2020年2月27日、「雇用動向に関するアンケート調査」を発表。1年前の雇用状況と現状の違いを尋ねたもので、理美容業はホテル・旅館などよりは深刻ではないにしろ、雇用状況は厳しくなっている。とくに従業者を確保するために、賃金や労働時間の改善が迫られ、経営を圧迫している。

調査業種は理美容業のほか、ホテル・旅館業、映画館、飲食業、クリーニング業、食鳥肉販売業、公衆浴場業、氷雪業販売業。

従業者の増減動向
1年前と比べ「変わらない」が美容業81％、理容業90％で大半。「減少した」は美容業13％、理容業7％だった。生衛業全体では「変わらない」80％、「減少した」14％なので、他の生衛業よりは減少は少ない。生衛業ではホテル・旅館業の20％が「減少した」と回答、深刻なようだ。

従業者の過不足感
「不足」と回答したのは美容業33％、理容業30％で、生衛業平均の37％よりは少ないものの、従業者の不足感は強い。一方「過剰」と回答したのは美容業、理容業とも4％で、これは不況感を反映した数字といえる。

不足している従業者の雇用形態
「正社員」は美容業47％、理容業53％、「非正社員」は美容業19％、理容業10％、「両方とも」は美容業34％、理容業37％だった。生衛業平均では「正社員」が23％なので、理美容業は正社員の不足感が強い。

従業者不足への対応（複数回答）
美容業
①「従業者の新規採用」34％
②「営業時間の短縮」33％
③「従業者の多能化・兼任化」27％

理容業
①「営業時間の短縮」35％
②「効果的な手段が見あたらない」31％
③「従業者の新規採用」22％
理容業の「効果的な手段が見あたらない」31％、は生衛業で最多で、理容志望者の激減が長期に継続しているのが背景にある。

従業者の確保をめぐる環境
「確保しにくくなった」は美容業31％、理容業27％、生衛業平均は35％だった。ホテル・旅館業が深刻だ。「確保しにくくなった理由」（複数回答）は美容業・理容業とも「新規に募集しても応募がない、少ない」が75％で最多で、次いで「待遇面の水準が高い」が美容業51％、理容業38％で、ともに２位だった。

採用に向けた取り組みで効果的なもの（複数回答）
結果は下記の通り。「理美容学校への求人」、「身内や知人への依頼」、「ハローワークの活用」が多い。他の生衛業より「求人サイトの活用」「人材派遣会社の利用」が少ない。

美容業
①「特にない」40％
②「学校への求人」29％
③「身内や知人などへの紹介依頼」23％
④「ハローワークへの求人」21％

理容業
①「学校への求人」43％
②「特にない」29％
③「身内や知人などへの紹介依頼」25％
④「ハローワークへの求人」19％

定着化に向けた取り組みで効果的なもの（複数回答）
理容業・美容業とも「休日・休暇の増加」「勤務時間の削減」「賃金の引き上げ」の労働条件の改善が効果的と回答。これは生衛業全体と同じ。

美容業
①「休日・休暇の増加」52％
②「勤務時間の削減」39％
③「賃金の引き上げ」31％

理容業
①「休日・休暇の増加」50％
②「賃金の引き上げ」44％
③「勤務時間の削減」43％

賃金水準の動向
正社員では「上昇した」が美容業43％、理容業26％、平均は37％だった。理容業は「低下した」が7％あり、生衛業最多だった。
非正社員では「上昇した」が美容業39％、理容業22％、生衛業平均は49％なので、他業よりは少ない。

【調査概要】
調査時期：2019年12月上旬
調査方法：面接調査
調査対象：生衛関係業3290企業（理容業421企業、美容業466企業）

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