フリーランス美容師という人生の選択
Posted on | 10月 2, 2019 | No Comments
和田美香さんがインタビューする新連載「人生100年時代の美容キャリア」。3回にわたってフリーランス美容師として活躍している高原卓玄さんをクローズアップしましたが、フリーランス美容師という働き方の可能性を感じさせるインタビューでした。
フリーランス美容師を可能にさせた背景には、SNSの普及とシェアサロンの拡大があります。
理美容店と客との関係は「店と客」が基本ですが、「人と人」を結び付けるSNSはその基本関係を変えるものです。
技術者はSNSを通じて自分の作品や得意とする技術を発信し、それを見て興味を持った人は、発信者とコンタクトをとり、客になる可能性があります。理美容店という場所を介して成り立っていた「店と客」の関係にかわり、SNSがその役割を果たています。
SNSで結びついた技術者と客の場所を提供するのがシェアサロンです。理美容の技術者は届け出た店で仕事をするのが当たり前でしたが、シェアサロンはその常識を覆しました。あらかじめ登録しておけば、どこにでも出かけて仕事をすることができます。フリーランス美容師の広がりは、シェアサロンの急増に後押しされています。
フリーランス美容師の広がりは、SNSとシェアサロンの存在に支えられていますが、別の背景として、美容業界の現状も大きな要因としてあげられます。
サロン企業に勤めても将来の生活に展望が描けない美容師さんは多い。一般企業並みに勤務年数を重ねれば、それに応じて給与が上昇する保証はありません。ある年齢で頭打ち、減額するのが現状です。ならば独立開業になりますが、店を構えるには多額の資金が必要です。その資金を手当することが難しい。たとえ資金を手当てできたとしても、負債をかかえて失敗する恐れが多分にあります。
資金を必要としないフリーランスという働き方は、負債をかかえる恐れがないだけでも大きなメリットがあるといえます。
また、店の規模に見合ったスタッフを確保するのが難しい現状では、所有する美容店をシェアサロンとして貸し出すことを選ぶ経営者が少なからずいます。
美容業界の現状は、店舗過剰です。フリーランス美容師の広がりの背景には、美容業界の飽和状態があるといえます。
理容美容の仕事は、江戸の時代より、回り床屋、お抱え髪結という、店を構えずフリーに働くという一面がありました。これまでも面貸しや業務委託などがありましたが、フリーランス美容師はこれらとは違い、文字通り「フリー」です。フリーランス美容師、ある意味、理美容の仕事の原点回帰かもしれません。
そして、21世紀のいま、美容師としての仕事の選択肢の一つとして定着する可能性が高い。
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タグ: フリーランス美容師, 理美容ラウンジ