少額開業が多い理美容などサービス業
Posted on | 3月 17, 2019 | No Comments
日本政策金融公庫総合研究所は2019年3月14日、「2018年度新規開業実態調査」アンケート結果を発表。理美容業などサービス業は開業費用250万円未満の少額開業が他産業より多く、「少額開業は、規模は小さいものの、開業後のパフォーマンスは良い」と分析した。
同研究所が、新規開業企業の実態を把握するため、1991年度から毎年実施している調査。今回の調査は、開業にかかった費用が250万円未満の新規開業企業を「少額開業」として分析した。
業種構成は、建設、製造、情報通信、運輸、卸売、小売、飲食・宿泊、医療・福祉、教育・学習支援、サービス、不動産、その他。
サービス業は、少額開業29%、非少額開業24%で11業種の中で、少額開業の比率が最多、2位の小売を15ポイントほど引き離している。
開業資金の使用内訳は、サービス業の場合、少額開業は「設備の購入」「内外装」を合わせ33%、「運転資金」が48%なのに対し、非少額開業は「設備の購入」「内外装」が51%、「運転資金」24%と、少額開業では設備費や内外装費を抑えている。また「不動産関係」に少額開業は費用をかけていない(0%)が、非少額開業は17%をあてている。
少額開業では設備費などを抑えるために、中古の設備や備品を購入したり、自宅の一部を店舗にするなどの工夫をしている。サービス業の小規模開業では不動産経費がゼロなので、自宅併用型店舗にしているようだ。
【主なサマリー】
1)少額開業は増加傾向であり、その従業者規模は非少額開業に比べて小さい
開業費用が250万円未満の割合は16.7%となり、2014年度以降上昇傾向である。
開業時の従業者数は、平均2.1人と非少額開業(3.6人)に比べて少ない。
2)少額開業の約6割が、工場や店舗、事務所に関する節約をしている
「自宅の一部を工場、店舗、事務所などにした」「工場、店舗、事務所などの内装工事を自分で行った」など、工場、店舗、事務所に関する節約をした企業は、60.8%と非少額開業(37.6%)を大きく上回っている。
3)少額開業のほうが、開業後のパフォーマンスは良い
現在の採算が黒字基調の企業は、64.8%と非少額開業(60.5%)よりも多い。
黒字企業をみても、従業者1人当たりの月の利益額や開業費用に対する月の利益額の比率(総資本利益率)は少額開業のほうが総じて効率性が高く、雇用創出のコストパフォーマンスも良い。
【調査概要】
調査時点:2018年7月
調査対象:融資時点で開業後1年以内の企業8,332社
調査方法:調査票の送付・回収ともに郵送、アンケートは無記名
回答数:1,655社(回収率19.9%)
タグ: 独立開業, 理美容店開業, 理美容店開業資金