2年制になった理美容教育だが
Posted on | 1月 30, 2019 | No Comments
平成時代、理美容業界にいくつかの画期的なできごとがありましたが、その一つに理美容学校が2年制になったことがあります。平成10年(1998)に施行されました。
理容師美容師養成施設の2年制化にともない専門学校として認可される道が開かれ、多くの養成施設が移行しました。
それまでは1年制で、卒業後1年間のインターンを経て国家試験の受験資格が与えられましたが、2年制になって卒業と同時に受験できるようになりました。
これは専門教育の高度化もありますが、インターン制度を廃止することで、理美容業界に長く根付いていた徒弟制度的な技術伝承からの脱却をはかる狙いもあったと思います。
徒弟制度は江戸の時代から続く、技術伝承の教育方法です。理容・床屋、美容・髪結に限らず、職人といわれる人が就く職種はおおかた徒弟制度でした。明治になって西洋理髪が導入されても徒弟制度的な教育は続き、やっと戦後になって理容師法が成立し、前述のような教育システムになったのです。
1年の学校教育、1年のインターンの制度になっても、徒弟制度的な教育は業界に色濃く残ったままでした。国家試験に合格してもインターン先の理美容店でさらに修業を続けるのが普通でした。
インターン制を廃止し2年制になれば、そんな古い風習から脱却できるものと大いに期待したものです。
ところが実際は平成の時代が終わろうとしているいまも、国家資格を取得しても、理美容店の現場で一人前扱いされることはありません。
もちろん徒弟制度とは形態は違いますが、国家資格を取得して理美容店に就職してもアシスタントととして勤務するのが普通です。
アシスタントの期間は3年とも5年とも、店によって、またその人によって違いはありますが、決して短期間とはいえない期間です。
むかし徒弟制度だった他の職種の多くが、1か月程度の有給での研修期間はあるものの、修了すれば一人前として仕事をしているのと比べると、残念ながら見劣りがします。
その理由について、理美容学校での教育、実習と、理美容店の現場での技術が乖離しているからだとか、実習時間800時間では現場レベルの技術領域に到達していないからなどと教育に問題があるような指摘をする人もいますが、これは違います。もしそうなら理美容学校で行う実習教育は基本の「キ」も教えていないことになってしまいます。そんなことはありません。
1年制から2年制になった理美容教育ですが、4年制、5年制になったとしても、就職すればアシスタントはかわらないでしょう。
問題は受け入れ側にあります。他業のように1か月の研修期間、長くても半年程度でスタイリストとして第一線で働けるようにできるはずです。もちろん研修期間は有給なのは当たり前です。
2年制になって徒弟制度的な教育から脱却できるものと期待したのですが、残念ながらいまだに教育面で大きく見劣りする理美容業です。アシスタントとしてなら低賃金で雇用できるからという経営者側の意向も透けてみえます。
しかし、時代はそれが許される時代ではありません。
平成の次の時代は一般の業種並みに、即戦力として雇用できる業界になってほしいものです。
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