規模は大きいが個々では見劣りする理美容業
Posted on | 12月 21, 2018 | No Comments
平成28年経済センサス活動調査報告書にみる美容系業種の実態
事業所数、従業者数、市場規模では他の美容系職種を圧倒する理美容業。しかし、個々のサロンの規模は小さく、1サロン当たりの売上・付加価値額、従業者一人当たりの生産性が低いのが、平成28年経済センサス活動調査報告書からわかる。
◇事業所数、従業者数とも他を圧倒する理美容業
・事業所数は美容系業種全体では26万4381サロンを数える。圧倒的に多いのは理美容業で、理容業36%、美容業61%と両業で97%を占める。
事業所数(店)
理容業 :95607
美容業 :160094
エステティック業 :5147
リラクゼーション業 :1805
ネイルサービス業 :1728
・従業者数は全体では62万0438人いる。やはり理美容業が多く、理容業30%、美容業64%と両業で94%を占める。
従業者数(人)
理容業:188642
美容業 :397649
エステティック業:20470
リラクゼーション業:5901
ネイルサービス業:7776
・1サロン当たりの従業者数はネイルサロンが4.50人で最多。全体数ではサロン数、従業者数とも他を圧倒する理美容業だが、1サロン当たりの従業者数は理容業1.97人、美容業2.48人と少なく、両業、とくに理容業が零細事業者が多い。なお1サロン当たりの平均従業者数は2.35人になる。
1サロン当たりの従業者数
理容業:1.97
美容業 :2.48
エステティック業:3.98
リラクゼーション業:3.27
ネイルサービス業:4.50
◇生産性が見劣りする理美容業
・売上高(市場規模)は美容系職種全体では2兆4343億円になる。理容業は4960億円(20%)、美容業1兆6478億円(68%)で、両業で2兆1438億円の規模。両業の占める割合は88%。エステティック業は金額ベースでは2292億円だが、占める割合は9%と高い。
売上高(百万円)
理容業:4959億90
美容業:1兆6477億54
エステティック業:2292億36
リラクゼーション業:335億31
ネイルサービス業:277億48
・1サロン当たりの売上高は、エステティックサロンが4454万円と多い。理容業は519万円、美容業は1029万円と低い。美容系職種全体の平均は921万円。
1サロン当たりの売上高(万円)
理容業:519
美容業:1029
エステティック業:4454
リラクゼーション業:1858
ネイルサービス業:1606
・従業者1人当たりの売上高もエステティックサロンが1120万円と高い。理容業263万円、美容業414万円と両業の売上が低い。平均は392万円。美容系職種では理容業の生産性が際だって低く、平均を押し下げている。
従業者1人当たりの売上高(万円)
理容業:263
美容業:414
エステティック業:1120
リラクゼーション業:568
ネイルサービス業:357
◇付加価値額
付加価値額は売上高から人件費や諸経費、租税公課などを引いた、いわゆる儲けで、美容系職種全体では1兆2036億円。1サロン当たりの付加価値額は下表の通りだが、やはり理容業の低さが目立つ。
付加価値額(百万円)
理容業:2684億54
美容業 :8428億37
エステティック業:693億99
リラクゼーション業:114億77
ネイルサービス業:113億94
1サロン当たりの付加価値額(万円)
理容業:281
美容業 :526
エステティック業:1348
リラクゼーション業:636
ネイルサービス業:455
データは、2018年11月発表の平成28年経済センサス活動調査報告書による。
また、元データをもとに1サロン当たりの売上高、1人当たりの売上高などを算出した。
タグ: 市場規模, 経営, 経済センサス