事業仕分け 反対運動 で早くも足並みの乱れ <コラム>
Posted on | 6月 29, 2010 | No Comments
事業仕分けで廃止判断となった生活衛生業助成費、管理理美容師講習に対し反対運動を進める業界組織だが、早くも足並みの乱れが生じている。
全理連が6月24日開いた理事会で、大森利夫理事長は理容美容学校の団体がすすめている反対運動の中に、事業仕分け以外に、外国人の就業を求める陳情が含まれていることを問題視し、「どさくさ紛れに自分たちに都合のいい内容を盛り込んだ」と批判した。
しかも、その団体の中に自らが理事長をつとめる中央理美容専門学校の名前があることから、怒りも高騰したようだ。
平成7年に改正(10年施行)された現行法では、外国人は理容美容学校に入学し、卒業後国家試験を受験することができる。合格すれば免許が取得できるが、日本での就業は認められていない。
理容師美容師として就業できるのは日本人に限られていたのは改正前も同様だが、当時はインターン制度があり、外国人は学校卒業後もインターン生として日本で就業できた。このため、外国人は国家試験を受験せずに、インターンとして就業を続けることができた。
これは、安い賃金で労働力を確保できる経営者、また高賃金が得られる外国人にとって好都合だった。その反面、日本人技術者の労働条件の向上を妨げ、また技術者を雇用しない零細業者の経営を圧迫する要因になっていた。
このため、小規模零細経営者の多い組合組織では一貫して外国人の就業に反対してきた。
一方、学校経営者は18歳人口の減少が続く中、学生確保策として外国人学生を積極的に受け入れてきた学校もある。日本の美容学校を卒業することは東南アジアではステータスになっているいう。さらに国内で就業できれば学生募集がいっそうしやすくなるという面がある。
このような背景があって、学校関係者は事業仕分けに乗じて、外国人の就業を併せて求めてきたものだ。
しかも、管理理美容師講習の修了までと、管理理美容師講習と関連づけているのが何ともうまい。
旧制度のインターンと同様、実質的には無期限就業になるのだろう。
こうなると理容師美容師の資格制度から考えざるを得ない。
現在は卒業後国家試験に合格してサロンに就職しても半人前のアシスタント待遇である。それから一人前のスタイリストになれるのは3年後あるいは5年後といわれている。となると2年間の就学・国家試験も意味がない。そこに持ってきての管理理美容師講習である。資格制度そのものが、業界の現状と遊離している。外国人就労を含め、理容師美容師教育、さらには資格制度までも含めて、ガラガラポンで考えてもいいのかもしれない。
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