労働条件の改善に真摯に対応を
Posted on | 12月 28, 2016 | No Comments
全日本美容業生活衛生同業組合連合会 理事長 吉井眞人(*)
新年あけましておめでとうございます。皆様におかれましてはお健やかに佳き新年を迎えられておられることと願っております。
我が国も、情報通信技術の発展・普及、国境を越えた企業の生産拠点の展開や労働力、資本の移動など、経済・社会はグローバル化の荒波にさらされ、この対応にあらゆる分野で精力を注いできたといえます。
ところが、世界ではこれらグローバル化の痛みに耐えかねたような動きが現出してきました。ヨーロッパ各国の難民受け入れに関する混乱や昨年6月のイギリスの国民投票による欧州連合からの離脱決定、11月のアメリカ大統領選挙の民意に見られるように、自国民の利益を最優先しようとする政策推進の動きが加速しております。世界の国々で対外的孤立主義を誘発するのではないかとの観測が広まり、世界は内向きの保護主義に傾き、経済の縮小へ向かうとの懸念を抱かれております。もとより、これはかつて歴史が経験した轍を踏むことにもなりかねませんが、この先行き不透明な局面を世界が固唾を呑んで見ている状況といえます。
このことは、当然、我々の美容業界にも影響を及ぼすことになります。
我が国の長期にわたる消費の低迷に生活者の将来への不安が重なることによって、家計消費の節約志向の定着化となり、美容業の売り上げの減少に歯止めがかかりません。さらに、新規の業態の出現、消費者の美容のセルフ化を促す器具や化粧品等の普及などによる競争の一層の激化も危惧されます。
競争のない業界は衰退するといわれますが、美容業は公衆衛生に深く関与した業務を提供することであり、このために業務独占の国家資格という世界に誇れる制度に基づき利用者の信頼の上に成り立っているということを忘れてはなりません。
どのような環境変化の中にあっても、典型的な対人サービス業である美容業が、我が国の経済社会の中で将来にわたって消費ニーズに応え、重要な産業として在り続けるために必要なことは、優れた人材の確保・育成です。
このためには、社会保険、賃金、勤務時間など労働条件について、場合によっては身を切ることにもなりかねない課題に目を逸らさず真摯に取り組むことが求められております。
当連合会は、我が国で唯一国から認可を受けた美容業の経営者団体としての責務を重く受け止め、本年も組織の強化に全力を傾注するとともに、諸施策に取り組んでまいります。
結びに、関係各位の変わらぬご支援ご協力をお願いするとともに、本年が皆様にとって実り多い年となりますよう祈念して新年のご挨拶といたします。
(*)吉は、士ではなく土(かんむり)に口が正字です。
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