吉川秀隆 タカラベルモント社長 2010年頭所感
Posted on | 1月 1, 2010 | No Comments
輝かしい新年の年頭に当たりひと言ご挨拶申し上げます。
さる2009年は正に大変な年でありました。
“米国発バブルの崩壊”日本の被害はさして大きくはない、というのが当初の観測であったかと思いますが、最終的には世界経済全体で1%強のマイナス、わが国はといえば実質GDPで3.3%のマイナスと先進国中最低の実績で、米国、欧州ともに株価も回復したのに日本は低空飛行で、この先2番底があるといった観測まででています。
そんな状況下、やはり日本自体に大きな問題があるのではないかと思えてくるのです。名目GDPでみると1997年の513兆からほとんど伸びていません。この間労働形態も変わりましたから手取り額としての賃金はむしろ減少しています。
さらに2006年あたりから大きな人口減少トレンドに入っており、昨年度はその影響が顕著に現れてきました。毎年80万人以上の人が何十年にもわたって減っていきます。ちなみにこの結果、百貨店は全国合計で増床したものの売り上げは合計で減っています。国には莫大な借金があり、中高年は年金と雇用が最大の関心事、若者といってもエネルギーに乏しく、経済以前に社会全体がやや後ろ向きの印象をぬぐえません。結局、昨年の世界同時不況はこういった日本の脆弱さを露わにしたのではないかと思います。
一方、この時期に大きく業績を伸ばし快進撃を続ける企業も沢山あります。それらの会社に共通のものは良い品物(又はサービス)を買い易い価格で提供しており、とくに供給面の優位性(品揃え・物流・サービス対応等々)が高いところに特徴があります(アマゾン・イケア・ユニクロ・ニトリ・ジャパネット等々、枚挙に暇がありません)。
実はこの背景に《賢い消費者の出現》があり、これが消費行動に最も大きな影響を与えていると思われます。《賢い消費者》はネットで商品検索し、使用者のレビューを読み、価格比較サイトで何処が一番良いかを見て短時間で最も有利な買い物を組み立てます。
このように、収入減・人口減・賢い消費者という厳しい市場の条件に見合ったビジネスのあり方を私たち業界も追求する事になったのです。これに応えて収益を上げるためには考え方の転換と業界に画期的なイノベーションが必要です。そして単純に価格換算できない価値…つまり、地域密着とか、オンリーワンとか、心がこもっているとか…の提供もいいでしょう。
お蔭様をもちまして弊社も来年創業90周年を迎えます。思いますればこの間お客様にご意見・ご指導をいただき、その折々に話題となるイノベーティブな製品を出せ、またお客様各位から格別なお引き立てをいただけたからこそ今日があると思います。
年頭に当たり、思い新たに業界のお役に立つ商品とサービスの提供にいっそう真摯に取り組んでまいる所存であります。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。
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