理美容室の実数、どちらが正しい? 衛生行政報告例と経済センサスを比較
Posted on | 10月 28, 2025 | No Comments
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厚生労働省が2025年10月21日に発表した令和6年度(2024年度)の「衛生行政報告例」によると、令和7年3月末時点の理容所数は10万7,995件、美容所数は27万7,752件となっています。
この数字とは別に、5年に一度実施される国の基幹統計「経済センサス」でも理容室・美容室の店舗件数が公表されています。直近の2021年(6月)調査では、理容所8万7,048件、美容所16万2,431件となっています。
実施年も異なり、調査方法も違うため結果が一致しないのは当然としても、両者の乖離は大きく、どちらを採用するかによって業界の見え方が大きく変わってしまう。
統計調査で実態を100%正確に導き出すことは困難だとしても、差が大きすぎるのが現状です。では、どちらが実数により近いのかといえば、やはり基幹統計である経済センサスを採用するのが妥当です。ただし、経済センサスは5年に一度の実施で、毎年の施設数は把握できません。
そのため、毎年の施設数については推計によるしかありません。単純な推計方法としては、2016年(*)と2021年の経済センサスを比較し、その差を5年間で割り、2021年以降に1年分ずつ加算していく方法があります。2016年から2021年の推移トレンドが変化していなければ、実態に近い数字を導き出せるはずです。
しかし、これはあくまで単純計算にすぎない。そこで、5年間の推移トレンドに加え、「衛生行政報告例」にある「使用確認件数」を勘案して推計した結果がグラフになります。

「使用確認件数」とは、理容所・美容所の開設時に保健所が実施する検査件数であり、一部に移転などのケースも含まれますが、おおむね新規開業件数とみなすことができます。新規開業件数と年度末時点の施設数から廃業施設数を推計し、さらに経済センサスの1年当たりの増減率を加味した推計値が下の表です。
理容・美容 推定施設数
| 年度 | 理容室 | 美容室 |
|---|---|---|
| 2022年度 | 85,624 | 166,709 |
| 2023年度 | 84,248 | 171,143 |
| 2024年度 | 82,613 | 174,947 |
| 2025年度 | 80,524 | 176,880 |
この計算によると、2025年度の推計値は理容所8万0524件、美容所17万6880件となります。
次回の経済センサスは2026年に実施され、結果は2028年ごろに公表される予定です。どのような数値になるのか注目されます。
(*)2016年経済センサスでは、理容所9万2,622件、美容所14万9,177件
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タグ: 理美容カフェ, 経済センサス, 衛生行政報告例

























