理美容店舗数 経済センサスと衛生行政報告例の違いについて
Posted on | 8月 24, 2023 | No Comments
理美容室の店舗数は、理美容業界の動勢を判断するうえで基本となるデータですが、経済産業省の経済センサスと厚生労働省の衛生行政報告例ではその数値が乖離しています。
差が大きすぎて困惑してしまうのですが、結論をいえば経済センサスが現実に近い。
経済センサスは日本の基幹統計のひとつです。理容室、美容室に関しては、サービス業基本調査、事業所・企業統計調査から継続して調査し、信頼性は高い。
一方、衛生行政報告例は、その年(年度)に開設した店舗を各保健所が報告して厚労省が集計した数字です。開設届のあった店舗に行って審査を行う保健所の業務報告の一つです。
年ごとの開設届を累積したのが衛生行政報告例の全国の店舗数になるわけです。
店舗数が大きく乖離してしまう理由はいくつかあります。
一つは開設届が重複してしまうことにあります。たとえば、店舗を改装する場合、仮店舗の開設届を出し、さらに改装後の新店舗も開設届を出して審査を受けます。開設届はその都度出して審査を受けますが、廃業するわけではないので廃業届は出すことはありません。移転して新店舗で営業する場合も同様です。
また、子や親族らに経営譲渡する場合、譲渡された人は新たな開設者として開設届を出しますが、譲った人は税務署に廃業届は出しても保健所に出すことはありません。
夜逃げ同様にして廃業する人もいるかもしれません。
これらは一例ですが、積もり積もって、実態とかけ離れた数字になっているのが現状です。
現状とは大きくかけ離れた店舗数になっている衛生行政報告例ですが、厚生労働省の行政遂行という目的にそっています。
そもそも、基幹統計と行政報告例とではその目的が違うので誤差が生じるのはやむをえませんが、誤差が大きすぎて、誤解を招いています。
誤解を避けるには、衛生行政報告例はその年(年度)の開設届を新規開店数として発表するだけにしたらいい、と思う。
ただ、経済センサスは毎年実施しているわけではないので、空いた年は経済センサスのデータ動向と衛生行政報告例の届出件数を踏まえ推定すれば十分間に合います。
最新の令和3年(2021年)経済センサス(活動調査)によると、理容室は8万7048店、美容室は16万2431店です(*)。経済センサスの動向と衛生行政報告例の新規開業件数から、今年2023年は理容室8万2千店、美容室16万1千店ぐらいと推定できそうです。
(*)同年の衛生行政報告例は理容室11万5456店、美容室25万7890店。
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