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江戸時代にもあった「おまけ商法」

Posted on | 9月 30, 2025 | No Comments


近ごろ、マクドナルドのキャラクターカードがおまけにつく「ハッピーセット」の人気が話題になりましたが、日本では以前からおまけ商法が存在してきました。

お菓子の景品、チョコレートのシール、CDの握手券など、現代でも多くの事例があります。

実は江戸時代にも、おまけ付きの商品が販売されていました。その代表例が「仙女香(せんにょこう)」です。どこにでも登場するほど知名度が高く、巧みな宣伝で知られた正式名称「美艶仙女香」は、江戸・京橋南伝馬町三丁目稲荷新道の坂本屋が売り出したおしろいでした。宣伝文句によれば、薬効もあるとされたようです。

仙女香は包み売りで、十包以上を購入すると、中村座・市村座・森田座の人気役者による自筆サイン入り扇子が「おまけ」としてつきました。この扇子欲しさに仙女香を求める女性も多かったといいます。

仙女香十包をねだるばかむすめ (『柳多留』百十・7)

仙女香の値段は決して安くなく、十包は長屋の家賃一か月分に相当したといわれます。そのため、庶民にとっては簡単に手が出せる品ではありませんでした。

おまけ付きの化粧品は仙女香だけではありません。江戸本町二丁目の角屋が販売した「寒紅(かんべに)」も有名です。寒の丑の日に売り出され、この日に購入すると「なで牛」と呼ばれる真鍮や黒漆塗りの土製の牛の置物がおまけとして付属しました。女性たちはこれを小さな座布団に載せ、可愛がったと伝わります。丑の日に売られる紅は「丑紅」と呼ばれ、特に珍重されました。

「なで牛」は菅原道真公を祀る天満宮や天神社に多く設置され、体の具合の悪い部分を「なで牛」の同じ場所に撫でると、病気が治ると信じられていたこともあり、広まったのかもしれません。

寒の丑の日が売り出し日になったのは、寒中の紅の品質が良かったことに加え、この日に鰻を食べる俗習が「薬になる」と信じられていたことが背景にあるようです。角屋では、購入量に応じて紅の入れ物も変え、少量なら蛤、多量なら黒塗りの印籠蓋付き茶碗を紅箱に収めて渡しました。「なで牛」も購入額によって塗装やサイズが異なったとされ、商魂のたくましさがうかがえます。

このように、日本では古くからおまけ商法が行われてきました。現代の日本と同じく、海外にもおまけ付き販売は存在しますが、過大なおまけや子どもを対象とした商品の景品を規制している国(スウェーデンやノルウェーなど)もあります。

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タグ: 仙女香, 寒紅, 髪にまつわるエトセトラ

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