美容と「日常美学」という哲学
Posted on | 8月 2, 2024 | No Comments
『ふつうの暮らしを美学する』
美容は芸術ではないが、哲学の一つのジャンルである美学の対象に含まれる。
美学のなかでも日々の暮らしを支える活動やモノを通じて「美」を捉える「日常美学」が、いま注目されはじめている。
『ふつうの暮らしを美学する』。サブタイトルに「家から考える「日常美学」入門」とあるように日常美学の入門書だ。
芸術領域には入らない「日常美学」はさまざまなものがある。人々が生活するなかで感じる「美」や「快」は多岐に及ぶからだ。
毎日のヘアスタイル、ネイル、生活者の体型も「日常美学」の一部になりうる。理美容師、ネイリスト、エステティシャンなど美容系サロンの仕事も「日常美学」の範疇になりうる。
本書では、一例として料理をとりあげて、料理を通して感じる人々の感性を紹介しているが、料理を美容に置き換えて、美容の「日常美学」を推察できる。美容は「日常美学」という哲学の研究対象になりうるといえそうだ。
著者の青田麻未さん(群馬県立女子大学文学部専任講師)は、環境美学、日常美学などについて哲学的研究を行う若手研究者。
本書では自身の日常など事例として紹介しており、親しみやすい。ただし美容についての具体的な記述はないので、あらかじめお断りしておく。
『ふつうの暮らしを美学する』
光文社新書
2024年6月19日発売
定価:990円(税込み)
ISBN 978-4-334-10353-8
光文社新書
判型:新書判ソフト
アマゾンなどから購入できる。
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