美容・理容の組合員減少が止まらない
Posted on | 1月 26, 2024 | No Comments
理容・美容の組合員の減少が止まらない。組合員の減少は理容組合、美容組合、その全国組織である連合会の組合費収入の減少だけでなく、共済関係の収益減にも直結します。
その結果、経費の削減、事業の取捨選択、事業規模の縮小をせざるを得ない。全日本美容連合会は120円から200円に賦課金を値上げしてからほぼ10年経った今年、300円に値上げすることを決めました。
10年前の2013年は6万1639人だった組合員が2023年は4万3281人へと減少し、連合会賦課金収入だけでも4千万円以上減少したのでは値上げもやむを得ません。組合員が10万人を超えていた昭和の時代とは隔世の感があります。
理容組合も同様です。2013年には6万2821人いた組合員が、2023年には3万9161人と4万人を割り込みました。理容組合員は昭和の時代には13万人を超えた時期もあり、美容に比べると減り方は急激です。台所は美容連合会以上に厳しいかもしれません。
理容・美容の連合会は、10年以上にわたり組合員の増加運動を最優先課題にあげ、組織をあげて取り組んできました。組織を所管する厚生労働省はじめ関係団体にも協力を仰いで取り組んできましたが、効果はでていません。
理由は「いまは組合時代でない、時代が違う」といってしまえばそれまでです。労働組合をはじめ他の職域組合も組織率は減少しているのをみれば確かに「時代が違う」のかもしれません。
理容美容の場合は、理容組合・美容組合の準拠法になっている生営法(生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律)の変質による影響が大きい。
昭和32年に生活衛生業事業者らの陳情を受けて成立した同法は当初は営業規制を含む内容の適正化規定を盛り込んだ法律で、料金規制や営業規制が可能とするものでした。実際、組合内では支部単位で料金や営業方法を規制していたし、組合協約で員外者との交渉も可能でした。業界はさらに出店規制などを求めて自民党の族議員に働きかけていたときもありました。
ところが、消費者保護の観点から公正取引員会の指摘などもあり、昭和54年に同法が改正され、規制法から振興法へと変質したのです。振興法の目玉は標準営業約款、いわゆるSマークです。Sマークを消費者に周知することで約款店への来店を促す業界新興策でした。しかし半世紀以上経ったいまでもSマークは消費者に認知されていないし、生活衛生業者ですら知らない人もいます。
料金協定や営業協定をすることで組合員の営業を守るはずだった生営法がその目的を果たせなくなったいま、そもそも組合員でいる必要性は薄れても仕方ない。生営法による業界の代表の目安とされる50%の組織率も大きく割り込んでいます。
組合員の減少による組合費収入が減少する組合は、組織を維持するので手いっぱいの状態です。連合会でも既存の事業を継続するだけで、新規の事業は国庫補助金でまかなっている状態です。国庫補助金は補正予算で連合会に多く割り当てられていますが、自ずと限界があります。
国庫補助金は税金です。組合員も納めていますが、未加入者も納税しています。この税金を組合、連合会だけに使うのでは、未加入者との公平性に疑義が生じます。結局のところ組織率に帰結します。
いま理容組合、美容組合は理容師、美容師が加入したくなるような魅力を示すことが求められています。しかし、そう簡単には創り出せないのが現状です。
*掲載したイメージ写真は画像生成AIで作成したものです。時代は変わる。
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