厚生労働省での生活衛生課の位置
Posted on | 9月 13, 2023 | No Comments
理美容業などを所管する生活衛生課の上部組織である医薬・生活衛生局と健康局が改組され、2023年9月1日より医薬局、健康・生活衛生局になりました。これにともない、生活衛生課は健康・生活衛生局に移管されました。
以前にも健康局とくっついていたこともあり、生活衛生課はいったり戻ったりの状態で、省内でまま子扱いされているように感じられてしまうのです。
これには、厚生労働省の創設以来の流れがあるようです。
厚生労働省が創設されたのは昭和13年です。当時は厚生省でした。創設時は、医事・医薬、健康・防疫、社会保障などの部局から構成されていました。これらが厚生労働省の中核的な部局といえます。
その当時、生活衛生関係は内務省(現・総務省)の警保局が所管していました。いまの警察庁です。
生活衛生関係業種のなかでも浴場業や飲食業、旅館業などは明治初期にいち早く警保局の所管になっていました。いまは衛生の観点から厚生労働省の所管になっていますが、風紀上の観点から警察が所管していました。
理容業美容業は営業規制などの関係で警察署とのつながりはありましたが、本格的に警保局の所管になるのは明治30年代後半になってからです。トラホームや結核、伝染性皮膚疾患の防疫の観点から警保局の所管とされました。当時は理髪業髪結業でした。
いまは保健所が個々の業者を指導していますが、保健所が整備されはじめたのは厚生省創設後で、民政関係は各地に設置されていた警察署が担っていました。そういった背景もあり、警保局の所管になったようです。
戦後、巨大官庁の内務省はGHQによって解体され、警保局が警察庁として生まれ変わります。これにともない、警保局所管の生活衛生業は厚生省に移管されることになります。
また末端の所管も警察署から保健所に移行します。
なお戦後、厚生省から労務行政や社会保険関係の部局が労働省として分離されますが、2000年の省庁再編で再び厚生労働省として統合されました。
こんな流れを俯瞰してみると、やはり生活衛生課は厚生労働省の中核からは外れているのがうかがえます。ちなみに生活衛生課は、埋葬なども所管しています。この埋葬は宗教関係を所管する文部科学省が所管してもおかしくなさそうですが、やはり衛生の観点から厚生労働省になったようです。
近年は局名に生活衛生を入れるなど、それなりに配慮をしているようですが、厚生省発行の記念誌などをみると、生活衛生関係は申しわけ程度の記述しかありませんし、省内の予算比率をみても雀の涙ほどです。(社会保障関係の予算が巨大なこともありますが)
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