理容業は限界業種?
Posted on | 3月 31, 2022 | No Comments
理容業の衰退が続く。2022年3月に公表された『理容統計年報』(55集)をみると、売上が減少し、理容師を目指す若者は少なく高齢化がすすんでいます。
理容業の衰退の原因については、いろいろな要素が指摘されています。
・若者の流行についていけなかった
・総合調髪をメインメニューとし、利用者の選択の範囲を狭めた。
・組合組織に依存する体質から脱却できなかった
などなどです。これらの原因が複合しての結果でしょうが、要するに利用者のニーズに対応できなかった、ということです。
これらの具体的な原因のほかにも、理容業に対するイメージもあります。「理容業=床屋=ダサイ」のイメージです。
理容業の衰退は、昭和40年代ごろからはじまっています。50年代には美容業との間で「パーマ戦争」といわれる業権争いが起きます。この「パーマ戦争」の背景にあるのは、若い男性が美容室を利用するようになったからです。
「理容業=床屋=ダサイ」のイメージは、当時の若者の意識だと思われますが、この若者意識を煽るメンズ美容師もいました。イメージの力は大きい。
理容店の子息のなかにも、理容師ではなく美容師を目指す傾向があります。これも「理容業=床屋=ダサイ」のイメージがあるのかもしれません。
美容=女性、理容=男性のイメージがあった昭和の時代、美容室に足を運ぶのに抵抗のあった若者でしたが、おしゃれに敏感な若者はメンズ美容室を積極的に利用するようになります。若者の理容店離れは徐々に進んでいきました。
当時の若者が中高年になって、なかには理容店に変更する人もいますが、そのまま美容室を利用する人も多い。理容店は徐々に客が減少し、令和の時代を迎えます。
理容師のなり手が減った結果、高齢化がすすみました。『理容統計年報』(55集)によると、理容組合員の平均年齢は64.8歳。限界集落の定義は、村民の半数以上が65歳以上といいますが、理容業界はギリギリといったところです。いづれ近い将来、限界職種になるのは間違いありません。
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