毛は油をよく吸収する
Posted on | 9月 14, 2021 | No Comments
毛にはいろいろな性質があります。そのひとつが、油を吸収する性質です。
毛孔には脂腺があり、毛小皮は脂腺から出た油を汲み、皮膚に運び出しますが、毛自体にも油を吸収する性質があります。
毛が油を吸収するのは、タンカーなどから流出した原油に海鳥などの生物が油まみれになっている映像(写真)がよく流されているのを見てもわかります。鳥の羽毛やラッコなどの被毛も同様によく油を吸収する性質があります。
ヒトの毛に限らず動物の毛が油を吸収しやすいのは、油を吸収することで、水をはじくことができ、体温を維持するのに役立つため、といわれています。
この油を吸収しやすいという性質をいかして、原油が流出したときの原油吸収材として活用する試みが近年、行われています。
理美容店で出る人毛を集め、ストッキングなどに詰めて、油の吸収材にする方法です。2007年に韓国のタンカーがサンフランシスコのベイブリッジに衝突して原油流出した事故や、2020年に日本のタンカーがモーリシャスで座礁して原油が流出事故で、この吸着材が投入され、成果を上げたことが報告されています。
理美容業界による毛髪を活用した社会貢献活動というと、ヘアドネーションの活動が先行していますが、地球の環境保全が国際的なテーマになっているいま、廃棄してしまうだけの毛を環境保全に役立てることができるのです。
人毛による原油吸着材の開発は理美容業界だからできる、ひとつの社会貢献活動になる可能性がありそうです。
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