キューティクルのいろいろな役割
Posted on | 4月 14, 2021 | No Comments
キューティクルは、毛髪の表面をおおっていて、毛髪内部のコルテックスのタンパク質や水分が失われるのを防いでいます。美容系の職業についている人なら誰でも知っている常識です。
主成分はケラチンという硬いタンパク質で、毛包から毛先に向かってウロコ状(紋理)に重なり合っています。色は無色透明で、硬いのですが、もろくて摩擦に弱い。なので、過度なブラッシングやシャンプーによって剥離することがあります。
以上はヘアケアの観点からは常識の範囲ですが、キューティクルにはこれ以外にも大切な役割があります。
それは前述の「毛包から毛先に向かってウロコ状に重なり合っている」ことに関係します。
毛先に向かって重なり合っていることで、毛包の中ほどにある皮脂腺から分泌される皮脂を表皮(頭皮など)に運び出します。皮脂は表皮に適度な油分を与え、皮膚の潤いを保ちます。頭皮も潤うし、毛髪にツヤを与えキューティクルを保護します。
キューティクルが毛先に向かっているから、皮脂を表皮に運び出せるのです。逆に毛穴から育毛剤などは浸透しにくいといえます。
さらにキューティクルが毛先に向かっていることで、毛包から脱落するのを防いでいます。
髪の毛を引っ張っても簡単には抜けないのは、キューティクルのウロコが毛包壁に引っ掛かり摩擦抵抗が生じているからです。この摩擦抵抗が脱毛を防いでいます。
1本の毛髪を抜くには約90グラムの力が必要といいますが、もしキューティクルのウロコがなかったら半分以下の力で抜けてしまうかもしれません。
動物の体毛はヒトと同様の構造ですが、なかには毛先から毛包に向かっている体毛の動物がいます。ヤマアラシやハリネズミ(写真)の体毛の一部がそれで、攻撃をしてきた外敵に硬い毛が刺さると簡単に抜けて、刺さった外敵は簡単には抜けません。
ミクロの世界のキューティクルですが、進化の過程でさまざまな役割を果たすようになったのです。
タグ: キューティクル, 髪にまつわるエトセトラ