小規模理美容店の「経営体力」は強靭
Posted on | 5月 1, 2020 | No Comments
新型コロナウイルスの感染拡大は日本経済に大きなダメージを与え、理美容店も客足が遠のくなど少なからぬ影響を受けたが、深刻さは他業に比べるとそれほどでもない。
「経営体力」という指標があり、投資関連や財務分析に用いられる。「経営体力」、手元資産で収入がなくてもどのくらいの期間、企業を維持できるか、の指標で具体的には、人件費や家賃などの固定費をどれだけの期間、支払えるかで示す。
全産業(金融業を除く)の経営体力の平均は1年10ヶ月弱なのに対し、飲食サービス業5ヶ月弱、宿泊業は7ヶ月程度との試算がある(『法人企業統計調査』をもとにした読売新聞の試算)。
理美容店は、個人経営がおおよそ9割を占める。その多くがオーナー技術者の一人営業か、家族従業員だけで営業している。しかも、住宅兼用型店舗が多い。人件費や家賃はかからない。
理美容店は一部自治体を除き、幸い休業要請をされていないので、客足は落ちたとはいえ何人かは来店する。蓄え次第だが、出費を切り詰めれば長期にわたり店を開けていられる。
また個人経営の理美容店は高齢な経営者が多い。少額ながら国民年金を受給している人もいる。
理美容業の中でも、小規模な個人経営の理美容店の経営体力は強靭だ。気をつけなければならないのは、「経営体力」ではなく「健康体力」といえる。
ところが、同じ理美容店でも企業サロンは違う。原材料費は飲食サービス業などと比べると格段に少なくて済むが、人件費の占める割合は高い。理美容サロン企業の企業規模はほぼスタッフ数に比例する。
コロナ対策で従業員の雇用継続のための助成金が準備されているが、長期化すれば経営の負担は増す。経営の維持は、スタッフの雇用を維持できるかにかかっているが、経営体力のないサロン企業は縮小を余儀なくされるだろう。場合によっては淘汰される。
そして、コロナ後。
小規模な個人経営の理美容店が増える。令和の時代、フリーランスという働く方もあり、店を持たずに理美容の仕事をする人も増えるだろう。
理美容業の本質は、個人の生業なのである。
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