超一流を目指す
Posted on | 10月 10, 2015 | No Comments
格差社会がいわれて久しい。日本に限らず、多くの国が格差是正に取り組んでいるが、格差は広がる一方というのが現状だ。
かつて一億総中流社会といわれた日本。日本経済の成長期、理美容サロン業界は圧倒的多数を占める中流の人たちを相手に順調に商売をしてきた。
その中流階級にいま異変が起きている。急速に減っているのだ。
中流というからには年収800万円はほしいが、当てはまるのは金融関係や大企業に勤めるサラリーマン、一部の中小企業の正社員、それと公務員ぐらいだろう。
そして、ごく一部の富裕層がいる。資産があり富が富を生み、資産はますます増える。その一方で、下流といわれる派遣労働者やパート、アルバイトが増えている。正社員になれない人たちで、平均年収は200万円を切る。
このような社会になってくると、これまで中流を相手にしてきた一般の理美容サロンの経営は厳しくなる。対象となる客が減れば当然のことだ。一般の理美容サロンでも中には繁盛しているサロンもなくはないが、珍しいといえる。
いまサロン業界で好調なのは、大手の低価格店やカットに特化した業態店だけである。
業界ではトータルビューティサロンへの転換がいわれているが、これは以前から書いている通り賛成できない。少なくとも、これまで中流を相手にしてきた一般の理美容サロンがめざすべき業態ではない。
トータルビューティサロンの顧客ターゲットは上流と一部の中流になる。美容技術以外にネイル、エステ、ヘッドSPAなどの分野で、トップクラスの技術者を揃える必要があるが難しい。技術・運営面の前に、だいいち資金面でのハードルが高すぎる。
業界の大多数を占める一般理美容サロンが生き残る道はあるのだろうか? 一つはいまいる顧客をしっかりつなぎ止めておくことだ。これが大事だが、これだけでは夢がない。
私は、一つの策として「超一流をめざす」ことをあえて提言したい。これまでにも、いろいろな提案をしてきたが、超一流をめざすのは、誰にでも実現可能という生易しいものではないが、美容師さんにとってチャレンジしてみる価値はある目標だ。
ツウが通う飲食店、行列ができるラーメン屋、女性を虜にするパティシエなどなど、他業にも超一流は存在する。ホストだって女性の指名がひきもきらない人気ホストがいる。
超一流には、並みの技術を超えた一流の技量がある。ホストなら容姿がいいだけで超一流になれるものではない。人の心をぐっとつかむ人間力、技量が備わっているから、超一流になれるのだ。人間力と一言でいっても、これが非常に難しい。カリスマ性と言い換えてもいいが、これは誰にでも備わっているものではない。
他の一流技術者とは違う何か、会話一つにとっても人の心を捉えるオーラとでもいうべきものだ。人間力を高めるには、専門知識を高めるだけでなく、教養、人柄、胆力がいる。
美容師さんでもマスコミに頻繁に登場し、都心の一等地で繁盛サロンを経営している人がいる。美容師をめざしたからには、こういう超一流をめざす、という選択肢があってもいい。
最後に、客が減ったからといって、下流相手の商売に変えるのは愚の骨頂である、と言いおきたい。低料金で数をこなすのは身体を壊すだけだ。
【小山秀男氏のホームページ】
http://www.koyama-lab.com/
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