理容師の行うパーマ、美容師の行う男性カット
Posted on | 1月 22, 2010 | No Comments
理容師の行うパーマの範囲、美容師の行うカットの範囲を定めた通知(昭和53年)で、
理容師は男性客に対し、仕上げを目的とする範囲でのパーマの施術を認める一方、美容師が行う男性カットはパーマに付随するカットを認めた。
通知の当時、理容と美容の間でいわゆる「パーマ戦争」といわれる業権争いが生じ、お互いの業権の拡大および防衛をめざしていた。母法である理容師法、美容師法の制定当時は男性は理容店、女性は美容室という大前提があったが、この当時からこの大前提が崩れ始めたために起こった業権争いといえる。
この通知で示された結果は
理容師は
男性客の仕上げ目的のパーマは認める(単独のパーマは不可)
女性客のパーマはできない
カットは男女どちらもできる
美容師は
男性客のパーマに付随するカットは認める(単独のカットは不可)
女性客のカットは可能
男女のパーマはどちらもできる
という傷み分けの内容だった。
この通知の翌年、この通知に沿った表記の徹底を求める通知「理容師法及び美容師法の運用について」(昭和54年、参考)が出されている。
現在でもこれらの通知は有効だが、実際は美容室での男性客の単独カットは公然と行われているし、理容店での女性パーマも行われている。
理容師法及び美容師法の運用について
(昭和五三年一二月五日)
(環指第一四九号)
(各都道府県知事あて厚生省環境衛生局長通知)
理容師法第一条第一項に規定する理容の行為及び美容師法第二条第一項に規定する美容の行為の範囲については、昭和二三年一二月八日衛発第三八二号厚生省公衆衛生局長通知をはじめたびたび通知してきたところであるが、近年における理容及び美容技術の変化、利用者の社会風俗の変化等に伴い、理容所又は美容所において行われる行為について種々疑義が生じている向きがあるため、今後は次により運用することとしたので、この旨十分御了知のうえ、貴管下営業者に対する指導につき遺憾のないようされたい。
なお、昭和二三年一二月八日衛発第三八二号厚生省公衆衛生局長通知「理容師法の運用に関する件」のうち第二項は削除し、昭和三〇年一〇月六日衛環第七四号福岡県衛生部長宛厚生省環境衛生課長回答及び昭和四九年二月二一日環衛第三九号鹿児島県知事宛厚生省環境衛生局長回答は撤回する。
記
一 理容又は美容には、それぞれ理容師法第一条第一項又は美容師法第二条第一項に明示する行為のほかこれに準ずる行為及びこれらに附随した行為が一定の範囲内で含まれるものであり、理容師又は美容師は、それぞれこれらの行為を業として行い得るものであること。
二 一の趣旨にもとづき、理容師のコールドパーマネントウエーブに関する行為及び美容師のカツテイングに関する行為並びに染毛については、次により取り扱うものであること。
(一) 理容師の行うコールドパーマネントウエーブについて
理容師が、刈込み等の行為に伴う理容行為の一環として男子に対し仕上げを目的とするコールドパーマネントウエーブを行うことは差し支えないが、これ以外のコールドパーマネントウエーブは行つてはならないこと。
(二) 美容師の行うカツテイングについて
美容師が、コールドパーマネントウエーブ等の行為に伴う美容行為の一環として、カツテイングを行うことは、その対象の性別の如何を問わず差し支えないこと。また、女性に対するカツテイングは、コールドパーマネントウエーブ等の行為との関連の有無にかかわらず行つて差し支えないこと。
しかし、これ以外のカツテイングは行つてはならないこと。
(三) 染毛について
染毛は、理容師法第一条第一項及び美容師法第二条第一項に明示する行為に準ずる行為であるので、理容師又は美容師でなければこれを業として行つてはならないこと。
三 店頭等における表示においては、二に反する文言は使用しないよう指導されたいこと。
なお、その詳細は追つて通知する予定であること。
理容師法及び美容師法の運用について示」
「理容のパーマ、美容の男性カットの表示
(昭和五四年二月一日)
(環指第八号)
(各都道府県衛生主管部局長あて厚生省環境衛生局指導課長通知)
理容師法第一条第一項に規定する理容の行為及び美容師法第二条第一項に規定する美容の行為の範囲については、昭和五三年一二月五日環指第一四九号厚生省環境衛生局長通知(以下「局長通知」という。)をもつて既に通知したところであるが、同通知にもとづく店頭等における表示については、左記によることとするので、営業者に対する指導につき遺憾のないようされたい。
記
一 店頭等における表示の文言について
店頭等における表示の文言については、「局長通知」による理容又は美容の行為の範囲を逸脱することのないよう次により指導されたいこと。
(一) 理容所においてコールドパーマネントウエーブに関する表示を行う場合には、「パーマ」、「女性(又はレディス、婦人等)パーマ」又はこれに類する表示は不適当であり、「男性(又は男子、メンズ等)仕上げ」の文言を付すること。
(二) 美容所において、カッティングに関する表示を行う場合には、「男性(又は男子、メンズ等)カット」又はこれに類する表示は不適当であること。
二 店頭等における表示に関する改善の指導について
店頭等における表示に関する改善の指導については、営業者に対して、「局長通知」及び本通知の趣旨をすみやかに周知徹底させる措置を講じ、あわせて「局長通知」及び本通知第一項に反する表示を行つている営業者については三月以内(店舗等の改築予定があり、表示の規模等からその際あわせて行う方が効率的である場合等やむを得ない事情があると認められる場合については六月以内)に改善させるよう指示されたいこと。また、期間中においては環境衛生監視、研修会、講習会等の機会をとらえて個別指導を含め、表示の改善の実施につき指導の徹底を図ることとされたいこと。
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