エステの消費者問題で内閣府が建議
Posted on | 1月 16, 2012 | No Comments
法的な対応を求める
内閣府・消費者委員会は消費者保護の観点から「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議」(案)をまとめ、2012年1月12日発表した。
2011年12月13日に開いた第77回 消費者委員会での議論を踏まえ、12月21日に建議をまとめ発表したもの。
建議では近年、エステ・美容医療の健康被害や事故相談件数が多数寄せられている現状を踏まえ、消費者を保護するために、官庁間での健康被害情報を共有化し、所管の厚生労働省は事故防止のための方策を講じる一方、消費者庁は広く国民への注意喚起を呼びかけることを求めている。
対象となるエステサービスは、脱毛、アートメイク、シミ取り、まつ毛エクステンション、まつ毛パーマ、美顔、痩身など。
建議では、厚生労働省に対しエステティック施術の技術基準等の整備と法解釈の見直しの検討を求めており、現在公的に野放し状態のエステに対して何らかの規制がかけられる可能性がある。
また、宣伝方法についても、ビフォー・アフターの掲出など薬事法で禁じられている手法が多いことなども問題として指摘されている。
厚生労働省・消費者庁では、今回の内閣府・消費者委員会の建議を受けて、何らかの対応をすることになるが、エステティックの法的規制の可能性が含まれており、美容師法・理容師法、あん摩マッサージ師法などの関係法規も併せて見直される可能性もある。
「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議」(案)
1 健康被害等に関する情報の提供と的確な対応
関係省庁(厚生労働省及び消費者庁)は、消費者の安全確保の観点から、以下の措置を講ずること。
(1)消費者庁は、都道府県に対し、消費者相談において、エステ・美容医療サービス関連で、健康被害に係る情報や施設の衛生管理等に問題があることが推測される情報を得た場合には、保健所等関係部局に当該情報を提供するよう要請すること。
(2)厚生労働省は、健康被害等に関する情報を把握した場合の対応について、運用上の工夫やノウハウ、具体例等を整理し、都道府県及び政令市に示すこと。
(3)消費者庁は、今後の健康被害の発生状況、上記取組状況等を踏まえ、必要に応じて、関係省庁への要請、消費者安全法に基づく注意喚起及び措置要求を行うこと。
2 エステ等を利用する消費者の安全確保のための措置
厚生労働省は、エステ等を利用する消費者の安全確保の観点から、各施術ごとに健康への影響等を分析し、必要に応じて、各施術の技術基準等を整備するとともに、法解釈の見直し等について検討すること。
また、エステ等を利用する消費者の安全確保の観点から、エステ等における施術の際の衛生管理の実態を把握し、必要に応じて、衛生管理のための指針を整備する等の措置を講ずること。
3 不適切な表示(広告)の取締りの徹底
関係省庁(厚生労働省及び消費者庁)は、取引の適正化の観点から、以下の措置を講ずること。
(1)厚生労働省は、消費者視点で好ましくないと判断されるインターネット上等の表示を取り締るための措置を講ずること。
また、都道府県及び政令市に対し、保健所等関係部局と消費者行政担当部局との連携について再度要請するとともに、不適切な医療広告等について、法令及び上記措置に基づく法執行を適切に行うよう要請すること。
(2)消費者庁は、都道府県(景表法所管部局)に対し、医療機関が行う広告についても法執行の対象となることを徹底するとともに、不適切なインターネット上等の表示について、自らも法執行を適切に行うこと。
4 美容医療サービスを利用する消費者への説明責任の徹底
厚生労働省は、美容医療サービスに関連する相談のうち、患者(消費者)の理解と同意が十分に得られていないことに起因するトラブルが少なからずみられること等を踏まえ、取引の適正化及び消費者の安全確保の観点から、緊急性がそれ程高くない美容医療サービスを提供する場合に、患者(消費者)に必ず説明し、同意を得るべき内容等を盛り込んだ指針等を整備し、周知を図ること。
タグ: エステティック, 厚生労働省健康局生活衛生課, 消費者問題