高級品の「銀の毛抜き」は役立たず? 『枕草子』の評価
Posted on | 2月 13, 2026 | No Comments
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毛抜きは古来より使われてきた美容道具の一つです。不要な毛を抜き、容姿を整えるための道具ですが、ときにはトゲ抜きとしても用いられました。
古くは二枚貝を使って毛を挟み抜いていました。古代ローマの男性は大浴場で髭を抜いていたといわれますが、その痛みは相当なもので、うめき声が外まで聞こえたと伝わっています。日本でも太古には二枚貝を用いてムダ毛処理をしていた可能性があります。
金属製の毛抜きがいつ頃登場したかは定かではありませんが、青銅器時代にはすでに存在していたとしても不思議ではありません。平安時代には鉄製の毛抜きが貴族の間で広く使われ、主に眉毛を抜くのに用いられていました。眉を剃る小型の剃刀「眉たれ」もありましたが、毛抜きと併用されていたようです。男性は冠や烏帽子からはみ出す毛を抜き、身なりを整えていました。

毛抜きには鉄製のほか、銀製の高級品も存在したことが『枕草子』からわかります。72段「ありがたきもの」(めったにない珍しいもの)には、
「舅にほめらるる婿。また、姑に思はるる嫁の君。」(舅にほめられる婿。 また、姑に大事にされる嫁。)
に続き、
「毛のよく抜くる銀の毛抜き。」
と登場します。清少納言は「銀の毛抜きは見た目は美しいが、実際には毛がよく抜けない」と記しています。つまり、立派ではあるものの役に立たないものの例えとして挙げています。
さらに「主そしらぬ従者」(主人の悪口を言わない従者)、「つゆのくせなき、かたち・心ありさま・すぐれ、世にふるほどいささかの疵なき」(欠点が全くない人物)などを「めったにない珍しいもの」と断じています。これらの評価は令和の現代にも通じるもので、『枕草子』の中でもよく引用される段の一つです。
世の中を辛辣な目で捉えていた清少納言 面目躍如の一文です。
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