発達障害児に寄り添う理美容室――「貸し切り対応」が広げる安心の輪
Posted on | 10月 13, 2025 | No Comments
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文部科学省が実施した調査によると、発達障害のある児童の割合は年々増加しており、2022年には全体の8.8%に達しました。
すべての障害児が理美容室で問題を抱えているわけではありませんが、なかには見慣れない環境に強い抵抗を示したり、長時間座っていることが難しい子どもも少なくありません。ドライヤーの音や鋏の動作に対して過敏に反応するなど、特性に起因する困難さもあります。保護者にとって、子どもの髪を切ること自体が大きな悩みとなっているのが現実です。

こうした背景を受け、発達障害児に対応する理美容室が全国的に増えています。NHKをはじめとする大手メディアもこのテーマを取り上げ、「発達障害児ヘアカット任せて」「じっと座ることやドライヤーの音が苦手」「貸し切りなど柔軟対応の店、全国に広がる」といった見出しで、具体的な取り組み事例を紹介しています。
理美容室側にとっては、サロン内でじっとしていられない子どもを受け入れることが、他の客への配慮や店舗運営上の課題となり、敬遠される要因にもなっています。しかし、「貸し切り」対応を採用すれば、周囲への影響を抑えることができるため、発達障害児の受け入れが現実的な選択肢となります。
とくに、近年増加している一人営業の理美容室では、もともと完全予約制を導入していることも多く、貸し切り対応は比較的導入しやすいといえます。周囲の視線を気にせず、子どもにとっても安心して施術を受けられる環境が整っています。
また、発達障害児の特性を理解したうえで対応するには、理美容師自身の知識や経験も求められます。専門のNPO法人などによる研修や認定制度は、その学びの場となっており、こうした支援体制の整備も重要です。
福祉理美容というと、高齢者を対象とした訪問理美容が一般的ですが、現代においては発達障害児への対応も新たな領域として注目されています。家庭だけで抱え込まず、地域で支え合うための選択肢として、発達障害児に対応する理美容室の存在は今後ますます重要になるといえます。さらに、理美容業界にとっても、こうした取り組みは新たな価値創出につながります。
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