美容室倒産、3年連続で増加 過去最多更新の可能性
Posted on | 9月 5, 2025 | No Comments
美容室の倒産件数が過去最多を更新する勢いだ。帝国データバンク(TDB)が2025年9月4日発表した「美容室の倒産動向」(2025年1~8月)によると、期間中、発生した倒産(負債1,000万円以上、法的整理)は157件で、前年同期(139件)を上回り、3年連続の増加となった。通年でも2年連続で過去最多を更新する可能性が高まっている。
「負債1,000万円以上、法的整理」以外の倒産、廃業についても相当数あるものと推測される。

背景には、大手チェーン店や低価格カット専門店の台頭による競争激化、資材費や光熱費、テナント料などのコスト高、人材不足といった経営課題があるのはかねてから指摘されてきたところだが、特に人手不足は深刻で、TDBによると2025年の倒産要因として「人手不足」が直接的に影響した件数は9件と、すでに前年通年の水準に達しているという。
美容室業界では、美容師のフリーランス化が進み、スキルのある人材の確保が難しくなっている。さらに低賃金や長時間労働の是正を求めて既存スタッフの離職が加速し、サービス提供体制が維持できなくなるケースも出ている。サロン企業にとっては人材不足は経営基盤を揺るがす深刻な課題となっている。
その一方で、自由度の高いワンオペによる個人事業が急増し、おしゃれ度の高い層の需要を満たしている。サロンブランドから個人ブランドへの移行が進んでいるという背景もある。
2024年は『家計調査』などによると、消費者の美容支出が緩やかに回復し、SNSや口コミを活用した集客で増益を確保する事業者もある一方で、TDBによると業界全体では、約3割が赤字、さらに26%が減益となり、収益確保に苦戦する事業者が目立つとしている。また都市部を中心に新規出店が相次ぎ、顧客争奪戦が激化。リピーターの来店頻度減少や割引クーポンの発行による値下げ競争が売上に影響を与、加えて、仕入れ価格の上昇、スタッフ給与の引き上げ、美容系予約サイトへの広告費増加など運営コストが経営を圧迫していると指摘している。
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