農業用倉庫の再生美容室が県知事賞
Posted on | 2月 22, 2023 | No Comments
農業用倉庫を再生・再利用した美容室が令和4年長野県建築文化賞の既存ストック活用部門最優秀賞(県知事賞)を受賞した。
長野県東御市の美容室「miike」。
同美容室を手掛けた建築設計事務所「ihrmk」(東京都港区)が2023年2月21日発表した。
長野県建築文化賞は、県内に建てられた建築物から、長野県の景観や省エネに配慮した創意あふれる作品を表彰するもので隔年で実施。今回は16回目の開催。
受賞美容室は、既存の農業用倉庫(鉄骨造り)を洒落た美容室空間に再生したのが評価された。
[審査委員長のコメント]
敷地は八ヶ岳連峰を見下ろす田園風景の中にあり、周辺にはプレハブ倉庫が点在している。その中の1つ、どこにでもあるような間口10m奥行6mほどのプレハブ倉庫を、Uターン夫婦のための写真スタジオ付美容院へと用途変更したプロジェクトである。
リノベーションは、オリジナル空間の性格を綿密に読み解かねば、表層的なデザイン改築の域を出ない。ここでは、既存の外壁下地胴縁をデザインの下敷きとし、それを基準に外壁をくり抜き、家具を組込み、スライドする可動の鏡を胴縁間につくりこんでいる。簡単な操作の積み重ねに見えるが、このデザインコードの発見が、単なる倉庫を美容院らしい洒落た空間へと生まれ変わらせている。
また、周辺の空地を少しずつ整備することによって、この小さな設計行為が、今まで寂しかったであろうこの場を活気ある風景へと更新し始めている。既存ストックを見事に活用しており、高い評価に値する作品である。
(宮崎浩審査委員長)
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