物価とは何か(渡辺努・著)
Posted on | 1月 27, 2023 | No Comments
理美容料金は四半世紀にわたり停滞し続けている。とはいっても、停滞しているのは理美容料金だけではない。日本のほぼすべての物価が停滞している。
日本の一流美容室の料金は、ニューヨークやパリの同等のサービスを提供する美容室の半額以下という。中国や東アジア、東南アジアの一流店にも及ばないという話も聞く。
あの小室圭さんがニューヨークの美容室に支払った料金が当時の日本円で1万2千円ほどで話題になったことがあったが、とくに高級な美容室ではなかった。日本だったら5千円クラスの一般的な美容室だった。
安いのは美容料金だけではなく飲食代や宿泊代など身の回りの多くのサービス料金が日本は安い。サービスだけでなく財も安い。
日本経済はデフレに陥っている。その原因をマクロ経済学の視点で、素人にもわかりやすく解説したのが、『物価とは何か』(渡辺努・著、講談社選書メチエ)。2022年の日経・経済図書文化賞を受賞した著書なので、すでに手にしている人は多いかもしれない。
日銀の異次元の金融政策にもかかわらず長期のデフレに悩む日本だが、ここにきて外的要因でインフレの兆しが見えてきた。はたして理美容料金がこのインフレの風に乗れるか?
消費者の気分が重要だと指摘する本著だが、その前に賃金の上昇がなければ難しいと思うのだが。
『物価とは何か』
著:渡辺 努
定価:2,145円(本体1,950円)
ISBN 978-4-06-526714-1
判型:四六
ページ数:336ページ
シリーズ:講談社選書メチエ
アマゾンなどから購入できる。
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