タカラベルモントは理髪椅子の後発メーカー

Posted on | 11月 14, 2021 | No Comments

タカラベルモントといえば理美容業では知らない人がいないくらいビッグネームです。そのタカラベルモントが創業したのは100年前の1921年（大正10年）だそうです。
同社が創業する前に数社の理容椅子の製造メーカーが事業を行っていました。

同社が創業する8年前の大正2年（1913年）に発行された『大日本理髪師名鑑』（発行・大日本美髪会）に椅子の製造メーカーの広告が載っています。加藤工場、渡邉譽一郎商店、坂爪椅子製造工場などとともに、ひときわ目を引くのが松浦総本店・松浦第一工場の広告です。

理容椅子のほかに店頭看板（サインポール）やキャビネット、ネイル用の台や靴磨き用の椅子なども製造販売し、海外にも輸出するなど手広く事業を行っています。理容椅子は3ページにわたり6台の椅子を掲載しています。
写真（上）の椅子は、「ハイドリック角型椅子B三号」と説明があります。特許出願番号も記載されていて、油圧で椅子の高さが調整できる最新機のようです。

理容椅子の値段は、「松浦式歯止運転回転自由椅子」という椅子で100円から150円の高級バージョン（上・左）と、37円から44円の普及バージョン（同・左）の2種を掲載しています。大正時代の1円はおおよそ4000円といいます。かなり高額です。

松浦第一工場の広告最終ページには特約販売所が掲載されていますが、大日本美髪会の役員になっている著名な理髪師の名前が連らねています。大場秀吉、芝山兼太郎、篠原定吉らは、理髪業では著名な人たちです。北野さんと大關さんは器具商ですが、他の9人は理髪師のようです。
当時の有力な理髪師は器具商的な事業も兼業していたのかもしれません。

今年、創業100周年を迎えたタカラベルモントですが、創業時は後発メーカーでした。

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