山高きが故に貴からず
Posted on | 6月 20, 2020 | No Comments
理美容店で働く理美容師の年収は、一般企業に務める人より少ない。その差は大企業ほど大きくなる。規模が小さくなれば差が縮まり、小規模零細サロンの健闘が光る。理美容サロン企業は、大きければいい、ということはまったくない。(『賃金構造基本統計調査』2020による。以下、同)
理美容サロン業界の中だけでみると、「10人から99人」、「100人から999人」、「1000人以上」と、規模が大きくなればなるほど年収は増える。しかし一般の企業ほどの伸びはなく、従業員の規模によるスケールメリットが生かされていない。その結果、規模が大きくなればなるほど、年収差は開いてしまう。
理美容サロン業界だけをみれば、規模が大きいサロン企業ほど年収が増えるので、大規模サロン企業経営者が評価される傾向がある。しかし、それは「井のなかの蛙」での評価にすぎない。広い視野に立てば、むしろ小規模零細サロンの経営者が評価されるべきだ。
理美容業は1対1の対面サービスという特性から、スケールメリットを生みだしにくいのは確かだ。『賃金構造基本統計調査』でも、規模の小さい「5人から9人」のサロンは健闘している。「1000人以上」で44%あった年収差が、この規模では男性で16%、女性で12%まで縮まる。
同調査には「4人以下」のデータはないが、年収差はさらに縮まるのは想像できる。1人営業、夫婦二人営業の規模なら、同程度の他業の零細事業者を上回る年収を得ている可能性が高い。
また、平均年齢が一般企業に比べ低いのが、理美容サロン企業の特徴になっている。30代後半過ぎの従業員に対し、年齢や力量に見合うだけの年収を払えない現状がある。これでは安い賃金で雇用できる若い技術者を雇用し続けなければならない。
現在の理美容業界で、一生この仕事を続けるには独立するしかない。それもできるだけ若いうちに独立するにこしたことはない。免許を取得したら即独立もあるし、25歳までには独立を目指したい。
理美容業界は大手サロン企業の経営者を高く評価する人がいるが、現況をみるかぎり経営手腕に見るべきものがない。そんな人たちの話をありがたがって聞く理美容業界は不思議な業界だ。
「山高きが故に貴からず」という格言があるが、まさにその通りなのが理美容サロン業界だ。従業員が多いサロン企業ほど、世間と比べると情けない。山はでかいが、ボタ山にしか見えない。
タグ: 理美容カフェ, 理美容師年収, 賃金構造基本統計調査