結髪の山中惠美子さんら5人が「現代の名工」に

Posted on | 11月 8, 2019 | No Comments

厚生労働省は、令和元年度の卓越した技能者(通称「現代の名工」)の表彰対象者150人を決定し、2019年11月8日発表した。理美容業界からは、伝統的な有識故実・髪結の第一人者、山中惠美子さん（90）ら5人が選ばれた。

表彰式は、11月11日、東京・新宿区のリーガロイヤルホテル東京で行われる。

受賞者、功績の概要などは次の通り。

【理容師】
対面カット技術を開発
大石一也（57、ヘアーサロン天神本店）、推薦・新潟県
卓越した技能と知識により、フォーマルカットとミディアムカットにおける対面カット技術を開発し、その技術指導を通して全国の理容師の支援に尽力した。また、アイロン技術とカットによって、誰にでもできる髪型を開発し、その技術の普及及び指導に努め、全国の理容師の技術的支援に大いに貢献した。
さらに、若手技能者・学生をコンクール入賞に導くなど優れた指導力を発揮し、優秀な人材の育成において多大な貢献を果たしている。

アイロン技術を応用・進化
白井勝（70、ヘアーファッションスタジオ　マサル）、推薦・大阪府
現在ヘアーサロンで施術されているアイロンセットの種類は多数あるが、氏は器具としては温度の変化に微妙に反応することができる特徴のあるコンピューター入りのセラミックが内蔵されているアイロンを使用し施術を行う等、同技術を応用しながら独自の技法を進化させて新しいファッションの開発に繋げている。
また、その技術を次の世代にも伝えていくため、論文にその概要をまとめる等、業界の発展にも貢献している。

ダブルレイヤーカット技法を考案
丸山則夫（72、東京　美ショップ・ジョージ）、推薦・全理連
日本人特有の黒く重い硬毛に対して、軽さを表現したヘアスタイルの創作を可能にするため、髪のボリュームを抑えるレイヤーカットに毛髪の素材感や質感を加える研究を重ね、ダブルレイヤーカットの技法を考案するなど卓越した技術を有している。
また、優れた技術と経験を活かし、理容業界の技術の向上発展に尽力し、理容師の社会的地位の向上に努め、後進理容師の指導・育成に多大な貢献をしている。

【美容師】
アップスタイルに卓越した技能
仲居由佳（52、ヘアプロデュース　Reve･N）、推薦・富山県
ファッション性・芸術性のある独創的なヘアスタイルの創作や、衣服のデザインや柄、個人の持つ雰囲気に合わせたアップスタイルの創作に卓越した技能を有し、世界理容美容技術選手権で国別団体総合優勝するなど、国内外の競技会において優秀な成績を収めた。
また、全日本美容講師会常任創作委員として新技術開発や普及活動に努めるほか、若手技術者や美容師養成施設の学生に対する指導を行うなど、業界発展・後進の育成に尽力している。

有識故実・髪結の第一人者
山中惠美子（90）、推薦・京都府
山中美容室
古墳時代から現代の舞妓・芸妓・嶋原太夫まで、各時代の身分、立場の違いによる多種多様な日本髪の結髪、各時代の装束等の知識に係る卓越した技能を有しており、最高位の芸妓である嶋原「太夫」の結髪を手掛ける現存唯一の技能者である。
また、伊勢神宮祭祀において、祭主の元皇族昭和天皇皇女殿下、上皇陛下皇女殿下の結髪・着付け専任を拝命した実績を持つなど、我が国の文化芸術に係る貢献も大きい。

関連する投稿

• 「現代の名工」に田中秀一氏ら理美容業界から6名
• 鳥海利江子さん　「美容技術を芸術の域まで高めた」功績で平成２５年度「現代の名工」に
• 駒崎智、渡邊雅美氏ら6人が「現代の名工」に

Comments