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老化対策への研究開発に画期的な研究

Posted on | 7月 29, 2019 | No Comments

タカラベルモントは東京工業大学などと共同研究で、iPS細胞から作製した皮膚を放射線により老化を再現させ、老化が皮膚などに及ぼす影響を明らかにした。2019年7月29日、同社が発表した。化粧品分野への研究開発のほか、毛包内の幹細胞が老化によるヘアサイクルに及ぼす影響や、メラノサイトの老化による白髪の発生メカニズムの解明など多方面での研究に貢献するものと期待される。

タカラベルモントは、東京工業大学科学技術創成研究院 先導原子力研究所の島田幹男助教・松本義久准教授、科学技術創成研究院未来産業技術研究所の沖野晃俊准教授らの研究グループと共同で、iPS細胞から作製した皮膚ケラチノサイト(*1)に対して、放射線で疑似的に老化を再現(*2)し、老化が皮膚に及ぼす影響を明らかにした。

共同研究の成果の要点
○ヒトiPS細胞から作製した皮膚ケラチノサイトで、疑似的老化に対する細胞の応答を詳細に解明
○幹細胞、前駆細胞などの分化レベル(*3)の違いによる応答の違いが明確に
○皮膚老化メカニズムの解明など、様々な分野への波及効果が期待される

【研究の背景】
生体では、活性酸素などの内的要因や、紫外線・放射線などの外的要因により、常に細胞内DNAに損傷が生じています。その損傷は生体に本来備わっているDNA修復機構によって直ちに修復されますが、まれに修復しきれなかった損傷が細胞内に蓄積することで、細胞のがん化や老化が起こると考えられています。

例えば、皮膚付属器官である毛包組織(*4)において、DNA損傷により毛包を構成する細胞の元になる幹細胞(*5)が枯渇すると、白髪・薄毛などの老化現象にいたります。

これまでヒト皮膚由来ケラチノサイトの放射線に対するDNA損傷応答(*6)の研究報告は殆どなされていませんでした。そこで今回の研究では、ヒトiPS細胞からケラチノサイトを作製し、幹細胞から前駆細胞(*7)まで、分化レベルの異なる細胞のDNA損傷応答を比較しました。また、実際の皮膚に近い三次元細胞培養(*8)表皮モデルを用いての放射線応答についても解析しました。
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【研究の成果】
iPS細胞から皮膚ケラチノサイトを作製し、iPS細胞およびiPS細胞由来皮膚ケラチノサイトにおける放射線照射時のDNA損傷応答の違いを解析しました。
その結果、iPS細胞は、ケラチノサイトに比べて、放射線に対する感受性が高く、アポトーシス(*9)を引き起こしやすい性質を持っていることが明らかになりました。

iPS細胞は未分化の細胞であり、DNAが少しでも損傷した場合、完全なる修復もしくはアポトーシスのいずれかを選択することによって、DNA損傷が残存することを防いでいると考えられます。
それに対し、成熟したケラチノサイトでは、DNA損傷が修復される速度や割合が低下していました。ケラチノサイトは成熟するにつれ、生きた状態から硬い角質層へと変化し、皮膚の最表面で体を守り、やがては剥がれ落ちる運命にあるため、DNA損傷を修復する機能が低下していても問題がないものと考えられます。
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【今後の展開】
本研究により、立体的に培養した皮膚細胞上で、疑似的に老化を再現することが可能となりました。今回確立した実験系を用いて、皮膚老化メカニズムの解明を進めるとともに、化粧品成分が老化改善に及ぼす影響の解析も行い、それら研究成果を今後の頭皮ケア・ヘアケア製品の開発に応用していく予定です。

【外部発表】
研究成果は、米国放射線腫瘍学会誌「International Journal of Radiation Oncology Biology Physics」電子版に5月11日に掲載されました。
論文タイトル:「DNA damage response after ionizing radiation exposure in skin keratinocytes derived from human induced pluripotent stem cells」

≪用語解説≫
*1ケラチノサイト:皮膚角化細胞ともいう。表皮に存在する細胞の約95%を占める。皮膚の最外層である角質層は角化したケラチノサイトによって形成され、外部刺激から体を守る重要な部位である。
*2放射線で疑似的に老化を再現:ガンマ線などの放射線を用いて、直接的および間接的に細胞内DNAに損傷を与えることで、細胞が老化した状態を疑似的に再現することが出来る。直接的には放射線のエネルギーによりDNA鎖を切断し、間接的には細胞内の水分子の持つエネルギーを高め、反応性の高いフリーラジカルがDNA鎖に損傷を与える。
*3分化レベル:ケラチノサイトは表皮基底層にその幹細胞や前駆細胞が存在し、成熟するにつれ有棘層、顆粒層、角質層を形成する細胞へと変化しながら、皮膚の最表面へと向かって行く。分化とはこの成熟による細胞の変化のことであり、分化レベルとはどの段階に細胞があるかということである。
*4毛包組織:毛根を包む組織。毛根を保護し、毛の伸長の通路となる。上皮性毛包、硝子膜、結合組織性毛包から成る。毛包上部には脂腺が開口し、皮脂を分泌して、皮膚や毛の表面をなめらかにし、保湿する。
*5幹細胞:幹細胞は自己複製能と様々な細胞に分化する能力(多分化能)を持つ特殊な細胞。この2つの能力により発生や組織の再生などを担う細胞と考えられている。幹細胞は幾つかに分類され、主に胚性幹細胞(ES細胞)、成体幹細胞、iPS細胞などがあげられる。
*6DNA損傷応答:放射線などにより細胞内ゲノムDNAが損傷を受けると、これに対応するために生体はDNA損傷応答機構というDNA損傷を効率的に修復する防御機構を動員する。
*7前駆細胞:前駆細胞は幹細胞から特定の体細胞や生殖細胞に分化する途中の段階にある細胞である。
*8三次元細胞培養:近年の培養技術の発達およびiPS細胞などの再生医学の進歩により試験管内で様々な臓器の立体構造が再現できるようになってきた。これまでは試験管内で単層培養が主流であったが、立体的な培養をすることにより異なる細胞間同士の分子ネットワークの解明が進んでいる他、薬剤試験などに利用されている。
*9アポトーシス:生体をより良い状態に保つために、能動的に誘導される細胞死のこと。プログラム細胞死とも呼ばれ、発生や恒常性維持において重要な役割を担う。

(情報/ニュースリリース)

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タグ: タカラベルモント, 老化, 老化研究

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