近大発スタートアップが挑む美容医療の透明化 美肌AIコネクトがクラウドファンディング開始
Posted on | 12月 27, 2025 | No Comments
近畿大学医学部皮膚科学教室の大塚篤司主任教授が代表を務める株式会社美肌AIコネクトは、大学で蓄積してきた皮膚科学の知見を社会に還元する仕組みを構築するため、クラウドファンディングを開始したと2025年12月26日に発表した。

同社は、AIと皮膚科専門医の知見を組み合わせた「美容医療の透明評価プラットフォーム」の開発・提供に取り組んでいる。大学発スタートアップとして近畿大学の制度に登録されたことを契機に、研究成果の社会実装を進めるとともに、学生や若手医師との連携を強化し、より安全で信頼できる美容医療の実現を目指す方針だ。
近年の美容医療業界は市場拡大が続く一方で、十分な臨床経験を積まないまま美容医療に参入する、いわゆる「直美」問題が指摘されている。経験不足の医師による施術リスクに加え、SNSやインフルエンサーを通じた誇大広告や誤情報の拡散も深刻化し、患者が信頼できる医師や施術を見極めにくい状況が生まれている。
こうした課題は数値にも表れている。独立行政法人国民生活センターのPIO-NETによると、美容医療サービスに関する相談件数は2022年度の3,798件から2023年度には6,281件へと急増し、2024年度には10,717件に達した。相談内容には、施術後の左右非対称や副作用に関する説明不足など、看過できない事例も含まれている。
美肌AIコネクトは、これらの課題に対し、医師の専門性や経験、施術内容といった情報を可視化・透明化する仕組みを構築することで、患者が納得したうえで美容医療を選択できる環境づくりを目指している。今回の大学発スタートアップ登録は、同社の取り組みが産学連携の枠組みの中で位置づけられ、研究成果の社会実装を本格的に推進できる体制が整ったことを示すものだ。
同社はこの登録を機に、2026年1月20日から3月31日までの70日間、目標金額500万円のクラウドファンディングを実施する。調達した資金は、美容医療の透明評価プラットフォームの開発費をはじめ、審査システムや検索・予約機能、レビュー管理機能、AI診断機能の整備、医師・専門家による審査体制の強化、教育啓発コンテンツの制作などに充てる計画だ。
今後はベンチャーキャピタルとの連携も視野に入れ、研究成果の社会実装をさらに加速させる考えだ。大学発の知見とテクノロジーを基盤に、患者と医療従事者の双方にとって信頼できる美容医療の新たな基盤づくりを進めていく構えだ。
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