ジニ係数上昇が理美容業にもたらす「寒い風」
Posted on | 12月 24, 2025 | No Comments
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「風が吹けば桶屋が儲かる」という因果噺がありますが、「ジニ係数が上がれば理美容業に寒い風が吹く」といった見方は成り立つのでしょうか。
ジニ係数の上昇は、理美容業に限らず、生活関連サービス業全般にとって歓迎できない状況といえます。
ジニ係数とは、所得などの分配の不平等さ(格差)を示す指標で、0から1の間の数値で表されます。0に近いほど平等で、1に近づくほど不平等とされ、一般に0.5を超えると社会不安や暴動が起こり得る危険水域とされています。
厚生労働省が2025年12月23日に公表した2023年の「所得再分配調査」によると、再分配所得後のジニ係数は0.3825でした。米国の0.40(2022年)よりは低いものの、先進国のなかでは高い水準にあります。

ジニ係数が高い、すなわち所得格差が大きい社会ほど、相対的貧困層の割合も高くなる傾向があるといわれています。日本には、食事にも事欠くような絶対的貧困層はほとんど存在しないとされていますが、社会生活に制約を受けるとされる相対的貧困層の割合は、先進国のなかで最悪水準です。2021年時点で15.4%、およそ6人に1人が相対的貧困層とされています(厚生労働省「国民生活基礎調査」)。2023年のジニ係数が前回調査より0.0012ポイントとわずかながら上昇していることから、相対的貧困率も高まっている可能性が高いと考えられます。
2021年時点における相対的貧困のラインは、1人当たりの年間可処分所得127万円、月額にすると約10万6,000円と算出されています。日々の生活では、あらゆる面で節約を強いられる水準です。衣食住はもちろん、理美容サービスや外食などの生活関連サービスの利用も、どうしても制限せざるを得なくなります。
相対的貧困層は、年金生活者、母子家庭、非正規雇用者などに多いとされています。近年の食料品価格の高騰をはじめ、生活環境は一層厳しさを増しています。理美容サービスについては、利用回数を減らす、利用自体を控える、あるいはより低価格の店舗を選ぶといった対応を迫られます。
その結果、理美容室をはじめとする生活関連サービス業の売上にも影響が及びます。コロナ禍のような急激で直接的な打撃ではないにしても、業界全体で見れば、じわじわと効いてくるはずです。実際、近年の理美容市場が停滞から縮小傾向にある背景には、この相対的貧困層の微増が一因として作用していると推測されます。
もっとも、相対的貧困層のなかにもおしゃれを最優先する人はいますし、逆に富裕層であっても最低限の身だしなみで済ませる人もいます。一概に断定はできませんが、全体として見れば、相対的貧困層の増加は業界にとって冷たい風が吹く要因になることは否定できないでしょう。
とはいえ、これはあくまで業界全体を俯瞰した話です。
「風が吹けば桶屋が儲かる」という因果噺は複雑で長い話ですが、「ジニ係数が上がれば理美容業に寒い風が吹く」という話は、きわめて単純な三段論法に過ぎないのかもしれません。
※「風が吹く→砂ぼこりで目を患う人が増える→盲人が増え三味線弾きが増える→三味線の皮(猫皮)の需要が増え猫が減る→猫が減ってネズミが増える→ネズミが桶をかじる→桶の需要が増え桶屋が儲かる」
タグ: ジニ係数, 理美容カフェ, 相対的貧困
























