「仕入れ価格」上昇の影響が少ない理美容業
Posted on | 12月 24, 2019 | No Comments
理美容業は生衛業のなかで「仕入れ価格」上昇の影響はあまりなく、「販売価格」への転嫁も少ないが、逆に美容業は「価格を引き下げた」と回答した割合が多く、仕入れ価格の動向とは別に過当競争の影響を受けている。日本政策金融公庫が2019年12月23日に発表した「生活衛生関係営業の価格動向に関する調査結果」による。
【仕入価格の動向】
仕入れ価格が「上昇した」と回答したのは理容業17%、美容業18%で、調査した生衛9業種(飲食関係は1業種に集約)の中で両業は最小の1位、2位で、他業に比べ仕入れ価格は上昇していない。
「仕入価格上昇の背景」では、クリーニング業や浴場業は原油価格、飲食業は天候不順・天災など業種によって違うが、理美容業は「製造業者による値上げ」が最多だった。
「仕入価格上昇の経営悪化への影響」(2つまでの複数回答)については、生衛業全体では25%が「かなり影響がある」と回答したが、理容業は4%、美容業は9%にとどまった。しかし「ある程度影響がある」は両業とも過半数を超えた。
「仕入価格上昇分の販売価格への転嫁」については、「全く転嫁できていない」が理容業美容業とも過半数を超え、仕入れ価格の上昇分を負担している状況がわかった。
また、「今後1年間の仕入価格の見通し」については、「上昇する」と見通しているのは理容業40%、美容業36%あった。特徴的なのは、「低下する」と見通しているが美容業9%、理容業6%あり、他の生衛業に比べ際立って多かった。現状の用剤価格が高すぎると判断している経営者もいる。
【販売価格の動向】
理容業美容業の場合は料金動向になるが、「引き上げた」が理容業7%、美容業9%だった。生衛業全体では15%なので、仕入れ価格の上昇が少ない分、販売価格への転嫁も少なかったようだ。逆に「引き下げた」と回答したのは美容業で3%あり、これはホテル旅館業の4%に次いで多かった。理容業は0.5%あった。過当競争が続いている美容業が価格競争に入りつつあるのがうかがえる。
「販売価格引き上げの理由」(2つまでの複数回答)として美容業は「商品・サービスの付加価値向上」68%を最多に「人件費の増加」37%、「商品・サービスの変更」32%をあげている。
また、「今後1年間の販売価格の見通し」については、生衛業全体では34%が「引き上げる」と回答しているのに対し、理容業は25%、美容業23%にとどまっている。逆に「引き下げる」は理容業1.4%、美容業1.1%あった。
【調査概要】
調査時点:2019年9月上旬
調査方法:郵送調査
調査対象:生活衛生関係営業 3,290企業
有効回答企業数:3,151企業(回答率 95.8%、理容業423企業、美容業469企業)
タグ: 仕入れ価格, 価格動向調査, 日本政策金融公庫