若い理容師さんに期待
Posted on | 1月 10, 2012 | No Comments
若い理容師さんに期待する。
君たちの感性と実行力で魅力ある理容業界に生まれ変えさせてほしい。
君たちも知っての通り、いま理容業界に元気がない。理容師さんの高齢化が進む一方で、理容師さんを目指す若い人は美容の1割程度しかいない。ヘアを扱う仕事でありながら、こんなに差があるのは、若い人にとって理容の仕事が魅力がないからだろう。
高齢の理容店経営者の大半は後継者がおらず、早晩店を閉じることになる。
都内の自由が丘は保健所の届出数をみると、理容店が1に対し美容室がほぼ9の割合だが、この地域で理容店を探すのに一苦労する。理容師のなり手が美容の1割程度でこのまま推移したら、理容店は完全に美容室の陰に隠れてしまう。消費者の利用が困難になっては、存在価値はない。そうなっては理容師法は美容師法に吸収されかねない。
むかし、理容業を衰退産業と称した学者がいたが、このままでは理容は消滅してしまう。
若い君たちに呼びかけるのは、いままで理容業界を担ってきた年代の人たちには考え方を大きく転換する柔軟さに限界があると思うからだ。
理容業界には組合がある。厚生労働省の生活衛生課が所管する生衛16業種の中で、いまでも最高の組織率を誇り、さまざまな活動を繰り広げてきた。その実績は高く評価できる。しかし、いまとなってはその団結力、組織力が徒となって理容業の衰退を招いたともいえる。
美容にも組合はあるが、理容組合ほど強固ではない。理容組合は傘下組合店の営業を規制していた時代が過去にはあったが、美容は組織力が弱い分、自由な営業をしてきた。自由で活性化した営業が消費者のニーズを捉え、理容の顧客だった男性客を取り込むまでに至った。
組合が悪いといっているわけではない。ここでは厚生労働省の行政に問題があることを指摘しておきたい。
国民の衛生を守るという厚生労働省の趣旨からして、衛生行政に徹することが本分なのに振興策にまで手を広げたことがそもそも間違いなのだが、この論は本コラムとは趣旨が違うのでここでは、国に頼っていては業界の発展は望めないとだけ言っておこう。
自分の力で理容店を繁盛させることが、ひいては理容業界の繁栄に結びつく。組合や国に頼っていては理容業は危ういだけだ。
要は自助努力だ。理容組合でも営業支援の技術提案を行っている。それはあくまでも自助努力を後押しするもので、講習を受けただけでは何の変化もない。
時代は変わった。常に変化している。理容組合も変わったが、理容師さんたちも10年前、いや20年前から大きく変わるべきだった。
若い理容師さんなら新しい時代に対応した魅力ある理容業を創りだせる。
理容(美容)からも新しい業態が次々に生まれている。かつら、育毛、ヘッドスパ、エクステンション、まつ毛エクステンション、、、みんな理容(美容)を元にした業態だ。
QBハウスに代表されるクイックバーバーも新業態のひとつだ。理容業界では当初、新手の安床と捉えていたが、決して安売りとはいえない。10分1000円というのは、人的サービスが中心の産業では相場といわれている。普通の理容店では4,50分かけて4000円程度の料金だから、クイックバーバーが安いというわけではない。むしろ、高級な内外装・設備で、確かな技術サービスを60分程度かけて5000円の料金の方が安い。少なくとも消費者は安いと感じるはずだ。
技術メニューに特化した新業態、料金の設定一つとっても、様々な考え方、アプローチの仕方がある。どのような提案を社会にするかは経営者の判断次第だ。
若い理容師さんなら、時代の流行への感性も鋭いはずだ。
広範な分野の情報収集、その情報の分析力、立地条件や自分の技術力・経営方針などを踏まえた判断力と決断力、そして実行力があれば、自分にふさわしい理容店を作り出せる。
男性カットは理容、女性パーマは美容などと、社会情勢とかけ離れた古い法律(通知)を振りかざす人はいないだろうが、幸い理容にはシェービングというキラーコンテンツがある。フェイシャルも理容の強力なコンテンツである。ファッション性の高い美容とは違ったコンテンツを多く含んでいる理容は美容とは違った方向での可能性が大いにある。
個々の理容店が繁盛してこそ、理容の将来は拓ける。そんな親の姿を見て、子息の多くが後を継ぐようになってほしい。いや、黙っていても理容店以外の人材が集まってくる理容業界になることを願う。
ここでいう「若い理容師さん」とは年齢で区切るものではない。
若い理容師さんに期待する。
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