トータル・ビューティと内面の美
Posted on | 5月 9, 2013 | No Comments
前回、美容業界の英知を集めて、業界の未来を切り拓くための方策を考えなければならないと書いたが、美容業の目指す一つの方向としてトータル美容がいま注目されている。
このトータル・ビューティという言葉はいまに始まったことではなく、10年以上も前からいわれている。
美容師の専門であるヘア以外に、ネイルやメイクアップ、エクステ、美顔、エステ、着付などを含めた総合的な美容サービスを提供しようというのだ。
規模の大きなサロンなら、それぞれの分野のスペシャリストを配置することが可能だが、美容業界の大半を占める零細サロンは一人何役かを掛け持ちしてこなすことになる。
あれもこれも、というわけにはいかないから、本業プラス1か頑張ってもせいぜいプラス2といったことろだろうが、これではトータル・ビューティにはほど遠い。
以前にも規模の大きなサロン企業がトータル・ビューティサロンを展開して話題になったことがある。一部はいまも営業を続けているサロンはあるが、多くは鳴かず飛ばずだ。
最近は、このトータル・ビューティに外面だけでなく内面の美しさを追求しようという提案がある。これが真のトータル・ビューティだ、というわけだ。
内面の美しさとは、素直に解釈すれば美しい心、端正な人格などになるのだろうが、美容業界でいう内面の美しさは、健康肌、健康毛と解釈するらしい。
確かに、ヒョロヒョロの髪やチリチリの髪をいくらスタイリングしてもさまにならない。荒れた肌ではメイクのノリも悪い。外面の美しさを支えるのが、まさに内面の美しさだ。
パーマネントで傷んでしまった髪のお客さまに、トリートメントを勧めていた美容業界の過去からみれば、格段の進歩といえる。
内面の美しさは美容の基礎である。しかし、内面の美くしさを語るのは簡単だが、実際は難しい。皮膚科学、毛髪科学を深く学ぶことからはじめなければならない。美容学校で学んだ程度では、とても内面の美を理解することはできない。
ところで、美容師さんに一つ問いたい。「なぜ皮膚は酸性なのか」。
この答えを明確に説明できる美容師さんはいないだろう。少なくとも私は一人も知らない。
トータル・ビューティ、外面の美、内面の美、確かに耳触りのいい言葉だ。この耳触りのいい言葉に踊らされて、これまでどれほど多くの美容師さんが痛い目にあってきたことか。
そして内面の美は美容師さんにとって基本であり、内面の美を正しく理解しないかぎり、トータルビューティは語れない。
この内面の美とは、このコラムを愛読している方ならご理解いただけるはずだが、皮膚の免疫に行き着く。
「なぜ皮膚は酸性なのか」を一人でも多くの美容師さんに知って欲しい。
【小山秀男氏のホームページ】
http://www.koyama-lab.com/
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