設計図のない工事見積書は意味がない
Posted on | 10月 31, 2015 | No Comments
美容室内装工事の見積書の正しい読み方(全7回)その1
美容室開業工事では、開業費用の大部分を占める店舗工事費の高い安いが気になりますね。
なんでもまず勉強だと、見積をとるところから始められるのがふつうです。
なのですが、その「見積をあちこちからとる」作業自体が当たり前すぎて、見過ごされていることがあります。
それは、見積書の正しい読み方、見方が、業界や商品によって全く違うということ。
これをそもそもご存じないために、工事費の見積書の読み方を誤り、付き合う工事会社さん選びを失敗される方が後をたちません。
1店舗目で失敗したからと、2店舗目をつくるときに、1店舗目と同じ工事会社さんに依頼されない店舗経営者さんが多いのはそういったわけです。
であれば、1店舗目をつくるときから、見積書の正しい読み方、見方を知って、無駄な工事費がかかって高くならない納得の工事費の支払いをしたいですよね。
今日は、工事業界の見積書の読み方について、一番大切な点をお伝えします。
それは、設計図をもとに積算した見積書以外は、ただ概算費用蘭の数字を見比べてもまったく意味がないということです。
テレビや車といった、仕様がきっちりきまっている商品であれば、同じ仕様の製品の価格をこちらでは安く、あちらでは高く販売していることを見比べることができます。
しかし、工事は、どんなデザインに向かって、どんな材料をつかって、どんな専門レベルの職人が仕事をするかで天と地の差があります。設計図は、仕様を決める作業です。ひとつの設計図の仕様に対して、各工事会社から出てくる詳細見積書の総額がちがっていれば、高い・安いを比べても妥当です。
それ以外の、設計図がない段階での見積書の読み比べは、そもそも総額の数字をみくらべても意味がないとお考え下さい。
また、設計図がない段階の見積書に対する施主と工事会社の姿勢も、大きく違うことを知っていただく必要もあります。
施主側からみたら、「だいたいこんな金額で収めてくれたらうれしいな」という、上限金額の希望を反映しているように感じています。
しかし、工事会社からみたら、「だいたいこんな金額から話ができるといいな」という、下限金額の希望を出したように考えています。
これほど両者の立場で見積書に込めている意味が違うということを、ほとんどの方が知りません。
出来上がってから、だんだん追加請求がかさなり、工事費が結局高くなったというのは、こんな工事会社の思惑が反映され、施主が押し切られているからです。
この2つの点を理解していただき、それでも設計図のない最初の段階からアプローチされ、概算見積もりを依頼したいときは、その会社の担当者と相性がいいか、対応はどんな様子かを肌で感じるための場としてとらえていただくにとどめるのが吉です。
次回もひきつづき見積書の読み方がテーマです。どうぞお楽しみに。
(著作:和田美香 「はじめての美容室独立開業工事110番(http://salonopen.com)」サイトでも、ブログやメルマガ執筆中)。
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