美容業の生産性向上は働き方改革から
Posted on | 11月 2, 2018 | No Comments
厚生科学審議会・生活衛生適正化分科会
厚生労働省の厚生科学審議会・生活衛生適正化分科会が2018年10月31日開かれ、美容業振興指針改正案、美容業の標準営業約款の変更案について審議、事務局(生活衛生課)案を承認した。
振興指針は生衛法(*)に基づく、生衛16業種の業界振興策を策定するもので、5年に一度見直しが行われる。
前回策定時から5年経過し、この間訪日外国人の急増、高齢化が進んだことから、訪日外国人客への配慮、高齢者障害者に対応したバリアフリー化の促進、また受動喫煙防止対策への対応、省エネなどへの対応などが追加して盛り込まれた。
また、業界振興に際して配慮すべき事項として、新たに「働き方・休み方改革に向けた対応」が追加された。働き方改革をすすめる政府の意向を踏まえてのもので、
・最低賃金の遵守
・業務改善助成金およびキャリアップ助成金などの活用
・最低賃金などのセミナーへの参加
などが明記された。
さらに、多様な働き方を選択できる職場環境を整備することが人材確保につながり、ひいては生産性向上が図れることから、従業員を雇用する美容店経営者に対し具体的に、
・割増賃金の見直しによる長時間労働の是正
・年次有給休暇の確実な付与
・雇用形態にかかわらず不合理な待遇の禁止
などの実施を求めた。
美容業界を代表して業界事情を説明した吉井眞人全美連理事長は、美容業界を取り巻く経営環境のうち悪い状況について、
・過剰な施設数
・消費者の節約意識の定着による来店頻度の低下、料金競争の激化
・写真スタジオなどによる業権侵害
・店舗を持たない出張美容専門業者の増加
・美容家電、美容器具などの普及による美容のセルフ化
・要望が多い外国人美容師の就労問題
などをあげた。
このうち、外国人美容師の就労問題については、若い美容師の多くが他産業へ流出している現状から「まず美容店の労働環境を整備すること」とした。
一方、よい状況として、
・消費者の美容に対する需要と関心の高さ
をあげたものの「市場のパイは大きいが、店舗が過剰で1サロン当たりの収益はよくない」と美容業界の不況はオーバーショップにあるとし、エステやネイル、メイクなどの美容関連種目を取り入れたトータルビューティサロンに活路があるなどを説明した。
消費者側委員からは、パーマネントウエーブ用剤、ヘアカラー用剤、化粧品などによるアレルギーの危険性に対する告知の継続や、まつ毛エクステンションの安全性の確保などを求める意見があった。
吉井理事長は、まつ毛エクステンションが美容師の業務となってからも事故は大きくは減っていないとし、事故の多い接着剤のグルーについて業界団体と安全な製品の基準策定などをしたいと説明した。
美容業の標準営業約款の変更案の内容については既報。
「美容業に関する標準営業約款の改正案」を承認
http://ribiyo-news.jp/?p=22125
厚生科学審議会・生活衛生適正化分科会(会場は、合同庁舎5号館・20階会議室)
(*)生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律
タグ: 厚生科学審議会生活衛生適正化分科会, 美容業振興指針, 美容業標準営業約款